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バントが少なく、盗塁と死球が多い。
パの強さを生み出す攻撃的姿勢とは。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/07/23 10:50

バントが少なく、盗塁と死球が多い。パの強さを生み出す攻撃的姿勢とは。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

西武・森友哉の豪快なフルスイングの魅力は、オールスターでの最多得票にも表れている。2年目にして早くもパ・リーグを象徴する打者の1人となった。

いい投手を攻略するには“好球必打”しかない?

 ストライクの見逃し率(全投球に占めるストライクの見逃し率)では、履正社の16.6パーセントに対して、大阪桐蔭は12.3パーセントと約4ポイント上回った。この見逃し率は私が今年になってから調べ始めたものだが、12.3パーセントという数字は“好球必打”という評価に十分値する。

 大阪桐蔭の西谷浩一監督に見逃しが少なかったことを聞くと、履正社の先発、寺島成輝がいいのでそれしか攻略する方法がなかったと言い、さらに「見逃しはうちのほうが少なかったでしょ」と好球必打の効果を十分認識しているようだった。

 いまや、「ボールをよく見ていけ」という指導スタイルはプロでもアマでも“守旧派”に属するのかもしれない。そして、好球必打の傾向はやはりパ・リーグのほうが顕著である。

大学生、社会人を多く取ったセ、高校生を多く取ったパ。

 好球必打の実践校、大阪桐蔭の主な卒業生は'93年以降、中村剛也(西武)、西岡剛(阪神)、平田良介(中日)、中田翔(日本ハム)、浅村栄斗(西武)、藤浪晋太郎(阪神)、森友哉(西武)たちである。

 ドラフトに逆指名制度が導入された1993年以降、おおまかに分類すると有名な大学生と社会人選手は巨人をはじめとするセ・リーグに数多く入団し、長く不人気が続いたパ・リーグは逆指名の権利が与えられていない高校生を上位で指名する傾向が強かった。

 即戦力選手の効果もあって'94年以降、日本シリーズではセ・リーグが7勝3敗と圧倒するが、高校卒が実力を発揮し始めると勢力図は逆転し、'04年以降の11年間ではパ・リーグが8勝3敗と圧倒する。

 大阪桐蔭ともう一方の雄・PL学園OBの'93年以降のプロ入りは総勢25人で、戦力になったのは約5割の12人。そのうち9人が最初に所属したのはパ・リーグの球団である。この数字ほど、現在のパ・リーグ優位を象徴するものはない。

 入札→競合→抽選というリスクを冒すことなく大学生と社会人の有力選手を比較的簡単に獲得できたセ・リーグ各球団に対して、パ・リーグは育成に手間がかかり、大学生・社会人にくらべ失敗の確率が高い高校生を指名せざるを得なかった。

 しかし、高校生はうまく育てば大学卒、社会人出身にくらべ大きく育つ可能性があり、それは現実のものとなった。単純化して言えば、'93年以降の23年間でセ・リーグの体質は弱まり、パ・リーグは強くなったのである。

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