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バントが少なく、盗塁と死球が多い。
パの強さを生み出す攻撃的姿勢とは。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byHideki Sugiyama

posted2015/07/23 10:50

バントが少なく、盗塁と死球が多い。パの強さを生み出す攻撃的姿勢とは。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

西武・森友哉の豪快なフルスイングの魅力は、オールスターでの最多得票にも表れている。2年目にして早くもパ・リーグを象徴する打者の1人となった。

パは、内角を見せて内角で打ち取る時代に。

 パの死球の多さは、投手が打者から日常的に受けているプレッシャーが半端でない現実を思い知らせる。そのプレッシャーをはねのけようという気持ちが内角攻めに現れている。

 2年前、楽天の行木茂満スコアラーに話を伺ったとき、内角を見せて外角で勝負というのは昔の鉄則で、今は内角を見せて内角で打ち取る、そういう時代になったと話してくれた。

 死球の数に鑑みれば、これは球界全般というよりもパ・リーグに顕著な攻め方と言っていいと思う。捕手が内角を要求することにより死球が増え、塁上に走者が出ればバントより盗塁で次の塁を狙わせる。こういうわかりやすい攻めがファンの目には「スピーディー」とか「豪快」というキーワードになって映る。

 余談だが、このとき行木さんは、狙い球を単純化する重要性も説いた。ツーシーム、カットボール、シュートはストレート系でまとめ、チェンジアップ、フォークは落ちる系で、カーブとスライダーは単体で分類する。そういう単純化する作業をしないと9つの変化球を投げ分ける金子千尋(オリックス)のような投手は攻略できないという。これも、シンプル・イズ・ベストの好見本と言っていいかもしれない。

アマチュア野球でも攻撃的スタイルが優勢に。

 パの野球は、アマチュア野球にも影響を与え始めている。7月18日から始まっている都市対抗では打順の上位、下位に関係なく、豪快な空振りが目についた。これはパの柳田悠岐(ソフトバンク)や森友哉(西武)が猛威を振るっているバッティングスタイルそのものである。

 また、甲子園の大阪府予選2回戦で激突した大阪桐蔭と履正社の試合(大阪桐蔭が5対1で勝つ)でも、履正社の初球ヒッティングが非常に目立った。5回までに初球打ちを敢行した打者が7人(バントを除く)。

 プロでも初球ヒッティングは1シーズンに100回以上記録する選手は少ないが、浅村栄斗(西武)は2013年、112回(打数)もの数を記録している。もちろん、パ・リーグに顕著な例と言っていい。この初球ヒッティングについて聞くと、岡田龍生・履正社監督は「甘い球がくる確率は早いカウントほど高いでしょ」と笑った。

【次ページ】 いい投手を攻略するには“好球必打”しかない?

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