松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
「怒らないようにしようと思うっすよ」
全米OP初日、松山英樹の“我慢”。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byJun Hiraoka
posted2015/06/19 13:10
この日は2度もバンカーからの華麗なリカバリーを見せた松山英樹。パットが決まりだせば一気にスコアが伸びそうな気配だが、果たして。
最高のバンカーショットと、もったいない3パット。
前半は2バーディー、ノーボギー。ノーミスに近いほぼ完璧なゴルフだった。
折り返し後も1番、2番、3番とパーを拾い続けた。第2打がグリーンから転がり戻った4番で初めてボギーを喫したが、すぐさま5番でバーディーを奪い返し、拍手に手を挙げて応える余裕も見せた。
悔やまれるのは、そんな流れを止めてしまった7番のダブルボギーだ。あえて3番ウッドを握ったというのに、ティショットは左ラフに転がり込み、第2打はグリーン右手前のバンカーへ。
眼前には、せり上がったアゴとフェスキューのような雑草群。グリーン奥ではためくピンフラッグは、バンカーからは旗頭がわずかに見えるだけ。エクスプロージョンで砂から打ち出しながら60メートル超の距離を出してピンに寄せるのは、いくらパワフルな松山でも限界がある。ピン手前10メートルまで運んだのは、彼ならではのベストリカバリーだった。
「あれは、一番いいバンカーショットができたと思う」
しかし、パーパットは2メートルもカップをオーバーし、返しのパットも外した。
「3パットは、もったいなかった。ダブルボギーは避けたかった」
最終ホールではバンカーからパーセーブ。
続く8番はパー5。落としたスコアを取り戻すべく、ピン下8メートルへ2オンさせ、イーグルチャンスを作り出した。しかし、またしてもカップを3メートルもオーバーさせ、3パットしてパーどまり。
それでもフィニッシングホールとなったパー3の9番では、グリーン右手前のバンカーからピン50センチに付ける見事なショットで、しっかりパーを拾った。