eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
プロゲーマーのなり方、育て方。
日本初の完全給与制チームを直撃!
text by
八木葱Negi Yagi
photograph bySports Graphic Number/SANKO.inc
posted2015/06/12 10:40
日本初の完全プロゲーミングチーム『DetonatioN Focus Me』のメンバーたち。普段と試合中の表情のギャップに驚かされる。
「やってることは何も変わらない」という実感。
Q.趣味を仕事にすると好きじゃなくなる? 変化は?
BonziN「全然。今も1日10時間ぐらいはゲームしてますし。何にも変わらないです。負けが続くと一時的にやる気を失うことはありますけどね」
Ceros「全く無いです。もともとゲームの世界ではトップだっていう自信がありましたけど、メディアに取り上げられたりすることで、やっぱり人としての自信みたいなものが付きました」
Astarore「好きなことをやってたら上手くなっていた、っていうのが率直な感想なんで、ゲームに関しては何も変わってないですね。好きなことをずっとやってるのは、努力っていうんですかね?」
Yutapon「プロになって、安定して上達できる環境が整った感覚がありますね。でもまだ国内で1位なだけで世界では勝てていないので、そこを突破した時にもっと大きな変化があるんだと思います」
Hwang「『好きじゃなくなる』という人の気持ちもわかる部分はあります。でも勝ちたい気持ちの方が強いので、やる気は下がらないですね」
Kazu「母親が趣味から始めた料理教室を20年続けているのを見ていたので、趣味を仕事にするのは僕の中では自然なことでした。もちろん、相応の努力をしなければ続けていくのは難しいでしょうね」
日本初のプロゲーマーチームなのだから、さぞ彼らの生活には大きな変化があったのだろう、と思っていた。しかし本人達の視点では「やってることは何も変わらない」ということに驚いた。
メンバーのDFMでプロ活動を始める前の経歴は、働いていた選手が4人、大学を休学してプロ活動をしている選手が3人、現在も大学に通いながらプロ活動をしている選手が1人。むしろ環境が整備されたことでより集中できている、という声が大きかった。
そして報道などではついお金の話が多くなりがちだが、お金を目的にプロを目指していたという人はやはり少数派だった。日本では特に「プロになれる、っていう選択肢がそもそも頭になかった」(Astarore)というのが実情かもしれない。