eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
日本のeスポーツ最先端『LJL』とは?
ゲームが仕事に、そして文化になる。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph bySANKO.INC
posted2015/05/29 10:30
『League of Legends』の日本一を決めるリーグの開幕戦のチケットは9分で完売し、オンライン配信では10万人のファンが視聴した。この波がどこまで大きくなるか、目が離せない。
なぜ『ストリートファイター』ではなかったのか。
eスポーツカフェと言っても、ゲームタイトルは様々だ。いかに世界で流行っているとはいえ、LoLの日本での知名度はストリートファイターシリーズなどとは大きく差があるのも事実である。では、なぜ日本で最初の本格的なeスポーツリーグは、LoLというアメリカ発のゲームで成立したのか。そこには、日本とアメリカのゲーム文化の違いが大きく影響していた。
「もちろん、日本のメーカーさんとも話はしました。ただ、やはり家庭用ゲームをメインに扱ってきた歴史がありますから、当時はまだeスポーツを広めようという意志はあまり感じられませんでした。イベントをやるとしても、目的はソフトの販促に限られている状態だったんです。
逆にLoLを作ったアメリカのライアットゲームズ社は、eスポーツに真剣に取り組んでいた。彼らはプレーヤーを本当にリスペクトしていて、LoLではゲームの待ち受け画面にプロ選手や大会の写真や特集が頻繁に登場するほどなんです。日本のゲームでは決してありえないことですよね。その考え方の違いに衝撃を受けて、日本にeスポーツを広めるには、やはりeスポーツに理解の深いメーカーが作るゲームでなければダメだと思ったんです」
企業も徐々にeスポーツに注目しはじめた。
市川のお店も徐々に軌道に乗る中で、2012年頃からはスタッフやお客さんがLoLをプレーする姿が目立ち始めた。プレーヤーコミュニティの盛り上がりと同時に、先駆的な企業もこの頃からeスポーツに注目し始めていた。
「ある日お店に、ライフカードさんから電話が掛かってきました。Vプリカというネット専用のプリペイドカードの事業を展開されていて、ある日売上げを見てみたら、当時は1位がダントツでパズドラ。そして2位がLeague of Legendsだったそうなんです。そこから一緒にオンライン大会を開催したり、LJLにも力を貸していただいたり。eスポーツの裾野の広がりを感じたのはこの頃からですね」