eスポーツは黒船となるかBACK NUMBER
日本のeスポーツ最先端『LJL』とは?
ゲームが仕事に、そして文化になる。
text by
八木葱Negi Yagi
photograph bySANKO.INC
posted2015/05/29 10:30
『League of Legends』の日本一を決めるリーグの開幕戦のチケットは9分で完売し、オンライン配信では10万人のファンが視聴した。この波がどこまで大きくなるか、目が離せない。
国内の環境が急速に発展、世界に挑む準備は整った。
そして2014年には、日本初のeスポーツ専用アリーナ「e-sports SQUARE AKIHABARA」のオープンと同時にLJLをスタートした。初年度は完全な国内大会だったが、2015年からは優勝チームに国際大会への出場権が与えられるようになり、実際に日本のチームがトルコでの大会に出場を果たしている。その国際大会出場権を懸けて3月に行われた1stシーズン決勝戦は、会場をベルサール秋葉原に移し、1000人近い観客と10万人を超える視聴者が目撃した。
5月23日の2ndシーズン開幕戦からは入場を有料化したものの、チケットはわずか9分で完売。ゲームを観戦するという“文化”が日本でも根付きつつあることを、あらためて印象づけることとなった。
「eスポーツを、文化にする」
しかし、鈴木はeスポーツが文化になるまでの道のりを決して楽なものだとは思っていないという。
「モータースポーツって、今みんなスポーツだと思ってますよね? でも私が高校生の時は、『3ない運動』って言って『免許を取らせない、運転させない、買わせない』というのがあったんですよ。バイクは暴走族が乗るもの、というイメージだったんです(笑)。
でも30年経った今では誰もがスポーツだと思っているじゃないですか。若い頃からレースをスポーツだと思っていた人が大人になり、社会の空気が自然と変わりました。『機械を操作してるだけだからスポーツじゃない』なんてもう誰も言いませんよね。
ゲームも同じだと思うんです。今ゲームを競技だと思っている子供達が大人になれば『これはスポーツだよね』って自然になるはずなんです。そういう意味では、長期的にはeスポーツが広まる、ということについては楽観しているのかもしれません。
ただ、その道のりは本当に長い。選手の意識も、大会やプロリーグを運営する方法論も、社会の意識も、eスポーツを文化にするまでにクリアしなければいけない課題は無限にあります。そしてそれができるのは、志を持った人だけだと思うんですよね」
日本で着実に、そして急速に成長するeスポーツとLJL。日本でも「将来つきたい職業」にプロゲーマーがランクインする日が訪れるのは、そう遠くないのではないだろうか。