月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島が眺めるスポーツ新聞世相。
5月は「キヨシとフランシスコ」祭り!
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News/Hideki Sugiyama
posted2015/05/22 10:50
5月になっても首位を快走中の横浜DeNAベイスターズの中畑清監督と、イースタン・リーグでは好調な巨人のフランシスコ。
今回から「月刊スポーツ新聞時評」を書くことになりましたプチ鹿島です。時評、といってもおカタいものではありません。スポーツ新聞がいかに楽しいものなのかという報告です。
ネット全盛のいま、紙媒体がマスコミのすべてではなくなった。オヤジ好みのスポーツ新聞は世の中心ではなくなってきた。独特の進化をしてガラパゴス化している気配もある。
そこで私は考え方を変えてみたのです。
オヤジがいま何に夢中なのか。オヤジが発信してオヤジが受信しているメディアが依然として存在し、社会でいまだに受け入れられているならば、そういった「オヤジジャーナル」の今を知ることも大切なことではないか。そして、それらを分析することで、何かがみえてくるのではないか。それがこのコラムの大テーマです。
5月は何はおいても「キヨシとフランシスコ」!
ではさっそく5月のスポーツ新聞は何で盛り上がっていたか、読み比べ報告をしよう。
「キヨシとフランシスコ」。これに尽きる。
今から4年前、新生・横浜DeNAベイスターズは中畑清の監督就任を発表した。当時から私は「中畑清を考えることは現代を考えることである 」と主張してきた。
というのも、スポーツ紙とネット世論の温度差が見事にハッキリしていたのだ。たいへん興味深かった。
たとえば2011年オフの「中畑氏、横浜監督に浮上」の記事。
《中畑節全開だった。午前9時過ぎ、自宅玄関から姿を現し、ドアの陰で報道陣をのぞき込みながら「家政婦のミタです」。松嶋菜々子主演の超人気ドラマをネタにして、ひと笑い取った。》(スポーツ報知)。
どうだろう、中畑とスポーツ紙記者の和気あいあいとした様子がすでに見える行間ではないか。
スポーツ紙が中畑を喜ぶ理由はわかる。野球が王様でなくなってしまった現代に、中畑は'80年代の野球黄金時代からタイムスリップしてきたようなキャラクターの持ち主だからだ。オヤジジャーナルが飛びつかないわけがない。 一方でツイッターなどでは「中畑監督」は不評だった。いかにも旧時代の匂いがするからだ。