月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島が眺めるスポーツ新聞世相。
5月は「キヨシとフランシスコ」祭り!
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News/Hideki Sugiyama
posted2015/05/22 10:50
5月になっても首位を快走中の横浜DeNAベイスターズの中畑清監督と、イースタン・リーグでは好調な巨人のフランシスコ。
現役時代と同じ「キヨシ」と呼ばれる男。
誰もがクールでツッコミ目線を持つ時代に、中畑は熱さと明るさで成功することができるのか。野球マスコミの幸せな時代はまたやってくるのか。私の中畑ウオッチは始まった。
就任当初から中畑は苦戦したが、今では横浜ファンにも受け入れられた。そして今年の快進撃。遂にオヤジとキヨシの蜜月がやってきた。
そう、スポーツ紙は中畑のことを「キヨシ」と書く。現役時代と同じだ。こんな書き方をされる監督はなかなかいないが、失礼で書いているわけではない。スポーツ紙も「かっ飛ばせ、キヨシ燃えろ!」のあの頃の熱さを再現できてたまらないのだと思う。
朝日新聞まで「キヨシこの夜」と悪ノリ!
5月は序盤からすごかった。たとえばサンケイスポーツを見てみよう。
「キヨシ 11戦9勝 復活マシンガン」(5月5日)
「キヨシ 8年ぶり!!単独首位」(5月6日)
「キヨシ 球団初両リーグ最速20勝」(5月7日)
3日連続、一気のキヨシ!
休む間もなく、
「キヨシ 巨人の不敗ルーキー 高木勇止めたぜ!!」(5月11日)
高木勇人は止まったがスポーツ新聞はもう止まらない。5月は中畑の一面だらけ。そして監督通算200勝を達成した翌日、待ってましたこの見出し。
「キヨシこの夜」。
一体どこのスポーツ紙だ。スポニチ? 日刊スポーツ? いや、朝日新聞だった! オヤジジャーナル特有のダジャレ見出しを朝日がやったのである(5月14日)。
もしかしたら、各スポーツ紙はとっておきのこの「キヨシこの夜」は優勝するまで大切にとっておいたのかもしれない。しかし朝日は我慢しきれずに出してしまった。
オヤジを無防備にさせるキヨシの魔力。このまま秋まで続いたら最高の祭りである。
そして何より、スポーツ紙だけの祭りでなく、世の中が「熱さをむき出しにするのもなかなかいいじゃん」と思いはじめたら、それはもう中畑の功績だと思う。
息苦しい時代の空気を吹っ飛ばせ、キヨシ!