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有力馬が不安を抱える天皇賞・春。
淀の高速馬場で波乱は起こるのか?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/05/02 08:00
管理する佐々木晶三調教師も「マイラーっぽくなっているというのかな」と語るキズナ。凱旋門賞4着の意地を見せられるだろうか。
GI5勝のゴールドシップ、京都では分が悪いが……。
人気でも実力でも負けていないのがゴールドシップ(牡6歳、父ステイゴールド、栗東・須貝尚介厩舎)である。負けていないどころか、重賞10勝、うちGI5勝なのだから、実績のうえではこの馬が大将だ。
阪神大賞典を勝って天皇賞・春というローテーションは、5着だった一昨年、7着だった昨年と同じ。臨戦過程に不安はない。しかし、戦績が示しているとおり、京都コースではなぜか走らない。菊花賞を勝っているとはいえ、ほかの出走馬にその後重賞を勝った馬が一頭もいない。メンバーに恵まれたがために、得意ではない舞台でも勝つことができた、と見ることもできる。
直線の短い中山や阪神の内回りなどで、コーナーを回りながらスパートしてマクる形になると恐ろしく強いのだが、京都の外回りや東京のように直線の長いコースではポカがある。気難しい馬なので、単調なスパートだと飽きてしまって、走るのをやめたくなるのだろうか。そのへんは馬に訊いてみないとわからないところだが、「馬の気持ちに乗る」ということにかけては天下一品の横山典弘が、上手くおだてて爆発力を引き出すシーンも充分にあり得る。
本格化し重賞連勝中のアドマイヤデウスは安定感あり。
確実性という点では、重賞を連勝中のアドマイヤデウス(牡4歳、父アドマイヤドン、栗東・橋田満厩舎)が一番かもしれない。昨年のダービー後、骨折のため長期休養を余儀なくされたが、休んでいる間に理想的な成長を遂げたようで、今年1月の日経新春杯では内から鋭く抜け出し、つづく前走の日経賞では外から豪快に差し切って連勝。異なる形で強さを見せ、本格化を印象づけた。瞬発力が武器なので、高速馬場は歓迎のクチ。崩れる可能性は少なそうだ。
ウインバリアシオン(牡7歳、父ハーツクライ、栗東・松永昌博厩舎)は、同期の三冠馬オルフェーヴルと一緒に走るときだけ大舞台で上位に来るのかと思いきや、昨年のこのレースでも2着となった。前走、アドマイヤデウスの2着となった日経賞を見る限り、能力落ちはなさそうだ。