フットボール“新語録”BACK NUMBER
「圭佑君の話はとても勉強になる」
代表で乾と本田が交わした会話とは。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/04/28 10:40
アギーレ前代表監督時代に左サイドに定着した乾は、今年のアジアカップから6戦中5試合で先発出場を果たしている。昨年のホンジュラス戦では2ゴールを決め、現在の代表キャップ数は19。
“タッチダウンパス”を狙う素地が日本にはある。
乾が新戦術の下でも輝けたのには、明確な理由がある。ハリルホジッチは「速さ」だけでなく、同時に「技術」も重視しているからだ。その両方がそろったときのみ、前線にエクストラの空間と時間が生まれる。
乾は力強く言った。
「むしろ俺と圭佑君は、ボールを奪った瞬間に前にパンとつけてくれたら、どフリーになれるんですよ。今までの代表では、なかなかそういうシーンがなかった。ビルドアップのときに、もう1コつなぐ傾向があったから。
圭佑君とも話しましたが、新監督の下では前につけてくれる回数が増えた。意識の問題なんやろうなと思います。モリ君(森重真人)とかはポンとつけてくれる。これをやってもらえたら、前の選手は楽ですね」
「パスを前につける」には、まずパスの出し手に強くて速いパスが求められる。緩いパスは簡単にカットされるからだ。さらに受け手は、その強いパスを止める技術が求められる。スペースにドカンと大きく蹴り出すのとは訳が違う。
だが日本には、優れたクォーターバックもレシーバーもいるのだ。“タッチダウンパス”を狙わない手はないだろう。
「もしタイミングが早すぎたとしても、そのときはこっちが落ち着かせればいい話やから。いわゆるタメ。チュニジア戦も圭佑君と(香川)真司が入ってからタメができましたよね。うちらからしたら、早くつけてもらうにこしたことはない」
疲れているときに同じプレーができるか。
もちろん、乾も現時点ですべてができているとは感じていない。課題としてあげたのが「疲れているときの質」だ。
「これからの課題は、疲れているときに同じようにプレーできるか。サイドのFWは守備のときに戻らないといけないので、バテるじゃないですか。そのときに質を保てるか。長い距離を走ったあとの技術が、かなり重要になってくると思います」