フットボール“新語録”BACK NUMBER
「圭佑君の話はとても勉強になる」
代表で乾と本田が交わした会話とは。
posted2015/04/28 10:40
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Takuya Sugiyama
「むしろ俺と圭佑君は、ボールを奪った瞬間に前にパンとつけてくれたら、どフリーになれるんです」
乾貴士(アイントラハト・フランクフルト)
ブラジルW杯以降、最も伸びた日本代表選手は誰か? そう訊かれたら、多くの人が武藤嘉紀や宇佐美貴史の名前をあげるだろう。
ただし、今年1月のアジアカップにおいて、代表の序列を崩したのはこの2人ではなかった。ブラジルW杯で落選したにもかかわらず、唯一アジアカップの先発に食い込んだのは乾貴士だけだった。
フランクフルトの練習場で声をかけると、乾はアギーレ時代をこう振り返った。
「楽しかったですね。前の選手は自由にやらせてもらっていたし、アギーレさんは褒めて伸ばすタイプ。そういう監督は今までなかなかいなかった。誰に対しても、けなしたり、怒ったりしない。あの距離感は、人間性から来ていると思う。見た目は怖そうだけど、常に笑顔やし。そういうところも楽しさにつながっていたのかなと思います」
ドイツ移籍4シーズン目となる今季、乾はフランクフルトで新たな自信をつかんだ。
昨季はラスト9試合で出番がなく急失速したが、今季はシャーフ新監督の攻撃サッカーで復活。ドリブラーとしてだけでなく、パサーとしての良さも引き出されるようになり、一気にプレーの幅が広がった。まだ波があるため、4月11日のバイエルン戦からはベンチスタートが続いているが、慌てる必要はないだろう。
「縦に速いサッカー」でも独特の輝きは変わらず。
日本代表のハリルホジッチ新監督の下でも、順調な一歩を踏み出した。
初戦のチュニジア戦は腹痛のためベンチで見守ったが、2戦目のウズベキスタン戦では左FWとして先発。落ち着いたプレーで流れに緩急をつけた。
日本の1点目は乾のCKの跳ね返りを青山敏弘がスーパーミドルで決め、2点目は乾がドリブルでつっかけ、そのこぼれ球からのクロスを岡崎慎司が決めた。アギーレとは異なる「縦に速いサッカー」でも、独特の輝きは変わらなかった。