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今週末の織田記念、9秒台は出るか!?
桐生祥秀&「高速トラック」の爆発力。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAP/AFLO
posted2015/04/16 10:30
「テキサス・リレー」での桐生。その後の国内初となる織田記念に向けての抱負を聞かれると「(9秒台を)重圧の中で出してこそ、トップアスリート」とコメントした。
走り込みのトレーニングで体力強化に成功。
計算上もさることながら、桐生自身の成長がうかがえることもまた、9秒台への期待を高めている。
まずは体作りが順調であることだ。
桐生は2013年4月、洛南高3年生で織田記念に出場し、予選で10秒01をマークして優勝。伊東浩司氏の持つ日本記録10秒00に限りなく近づき、一気に日本短距離界の真ん中に躍り出た。
だが、その後は決して順調とは言えなかった。特に昨年は、4月に右太腿裏、6月に右足底部を痛めるなど怪我が相次ぎ、9月の仁川アジア大会も欠場を強いられた。
そのため、土江寛裕コーチによるトレーニングに取り組むことで、体の強化を図ってきた。
「走りこみの成果が出たと思います」
トレーニングの手ごたえを桐生自身がつかめたのが「テキサス・リレー」だった。
優勝によって実証された桐生のポテンシャル。
何よりも、自信を深めるレースとなったことが大きい。
一つには、「9秒台を体感できた」(桐生)こと。
もう一つは、このレースで優勝したこと。
2位に入ったライアン・ベイリー(アメリカ)はロンドン五輪で5位に入った選手で、そのときのタイム9秒88を自己ベストとして持っている。3位のチャールズ・シルモン(アメリカ)は2013年の世界選手権代表で自己ベストは9秒98。実力者がそろう中でトップでゴールしたことは桐生の実力を裏付けるものであったし、自信を得る機会となった。
高反発の高速トラックで好タイムは確実か!!
そして迎えるのが、織田記念である。
シーズンの緒戦として出場する一線級も多い織田記念の会場であるエディオンスタジアム広島は、「高速トラック」と言われてきた。トラックの反発が強く、それが推進力となるからだ。しかも追い風に恵まれる機会も少なくないため、好記録が目立つ大会となっている。