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例年接戦の桜花賞でなぜ4馬身差が?
レッツゴードンキ岩田会心の逃げ戦術。
posted2015/04/13 11:25
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
何が起きるかわからない。いろいろな結果が出る。それが競馬だ――と、ゴールの瞬間、あらためて思った。
4月12日の第75回桜花賞(3歳牝馬GI、阪神芝外回り1600m)を制したのは、3戦3勝のルージュバックでもクイーンズリングでもキャットコインでもなければ、唯一の重賞2勝馬ココロノアイでもなかった。
4馬身差という圧倒的な差をつけて桜の女王となったのは、昨年の阪神ジュベナイルフィリーズで2着と涙を呑んだ1勝馬、5番人気のレッツゴードンキ(父キングカメハメハ、栗東・梅田智之厩舎)だった。
凝縮された馬群が、スローペースを物語っていた。
良馬場のコンディションのもとスタートが切られ、まず、内の2番枠からムーンエクスプレスがハナに立った。3番ノットフォーマル、4番トーセンラークらが差なくつづく。このまま落ちつくかと思われたところで、これらの外から岩田康誠のレッツゴードンキがまとめてかわして先頭に立った。ゲートから1ハロンほどのところである。
「ほかの馬を見ながらと考えていましたが、前に行きそうな馬が(ハナを)主張しなかったので、牽制しすぎて馬とケンカするよりはいいと思って行きました」と岩田。
好位の内にクリストフ・ルメールのコンテッサトゥーレがつけ、そこから4、5馬身後ろの馬群のなかに、単勝1.6倍の圧倒的1番人気に支持された戸崎圭太のルージュバックがいる。すぐ内からクルミナル、外からはアンドリエッテという2頭のディープインパクト産駒が上がってくる。ミルコ・デムーロが乗る3番人気のクイーンズリングもこれらのすぐ外につけている。
1頭大きく遅れたクールホタルビ以外の17頭は、手綱を引っ張りながら、10馬身強に凝縮された馬群のなかにひしめいている。流れが遅いことの証である。
2番人気のココロノアイは完全に折り合いを欠き、アンドリエッテらを外からかわしていく。
それと入れ替わるように、何度か戸崎に手綱を引かれたルージュバックがポジションを下げた。