沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ディープ産駒が未だ勝てない皐月賞。
総合力の高さか、“一発”の武器か?
posted2015/04/18 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
11年ぶりの「無敗の桜花賞馬」誕生が期待された先週は、1勝馬による、30年ぶりの逃げ切り勝ちで決着した。今週の第75回皐月賞(4月19日、3歳GI、中山芝2000m)は順当におさまるのか。それとも――。
今週末の皐月賞にも、無敗の重賞勝ち馬が複数出走し、2005年のディープインパクト以来10年ぶりとなる「無敗の皐月賞馬」の座を狙う。
キタサンブラックとサトノクラウンである。
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これら2頭のうち、サトノクラウン(牡、父マルジュ、美浦・堀宣行厩舎)は、早くからクラシック戦線の主役候補と目されていた。
サトノクラウンに死角は見当たらないが……。
新馬戦を無難に勝ったあと、東京スポーツ杯2歳ステークスでは、直線、前が壁になりながらも、馬群の隙間から突き抜けた。そして年明け初戦の前走、弥生賞を好位から横綱相撲で押し切り、戦績を3戦3勝とした。
好位で立ち回る器用さ、馬群のなかで我慢できる精神力、動きたいところで動けるレースセンス……と、競馬が大人びている。それでいて、堀調教師は「まだまだよくなる馬です」と、さらなる成長を確信している。
本番と同じコースの弥生賞できっちり結果を出しており、ここまでの調整過程も順調。前走で手綱をとった福永祐一がリアルスティールに乗るためクリストフ・ルメールに乗り替わるが、これは不安材料にはならないだろう。
死角なし。負ける形を想像しにくいほどの強さを感じさせる。が、この隙のない強さが、先週まさかの9着に敗れたルージュバックとオーバーラップし、「『何が起きるかわからないのが競馬だ』ということを忘れないようにしなければ」と思ってしまう。
しかし、その一方で、これには希望もまじっているのだが、「久しぶりに『無敵のヒーロー』誕生の瞬間を見たいし、そろそろ登場していいころだ」とも思う。