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宇佐美貴史の芯には、謙虚さがある。
18歳で語っていた「天才と万能」。
text by
吉崎エイジーニョ“Eijinho”Yoshizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/04/03 11:30
柴崎らと共にチュニジア戦、ウズベキスタン戦と活躍したプラチナ世代の宇佐美。ロシアW杯へ向け、世代交代なるか?
シーズン半分の期間、18試合で19ゴールを決める。
特に'12-'13シーズンにプレーしたホッフェンハイムでは自分の特徴を伝えるどころではなかったという。
「自分の特徴を伝えるのが難しかった、という点もありますが、サイドアタッカーとしての役割に限定されていましたから。相手がボールをキープしているということが大前提のチームでした。ボールを奪っていかに速くゴールまで持っていくのか。このことばかりが要求される毎日でしたから。自分の特徴を出しづらかったというところはあります」
宇佐美は2013年6月、ガンバ大阪に復帰する。
「子どもの頃から自分自身が熱烈なサポーター」というクラブはJ2降格の憂き目に遭っていた。ここで18試合で19ゴールという離れ業をやってのける。シーズン半分しかプレーしていないにもかかわらず、ゴールランキングで2位に入った。
ガンバでは「もっと前に行け」と厳命されているが。
ここでも、長谷川健太監督の意向で役割が「限定」されていた。
ゴールに向かうということだ。
「チームのなかでの(長谷川健太)監督の要求と、自分のイメージを結びつけながらやっています。ガンバでは4-4-2でやってますけど、時に4-5-1のようなかたちになるときもある。そうなると、もっと前に行けという話になることがある。でなくても、引きすぎるプレーが多いと、前に行ってほしいということになる。そういったなかでベストの配分を見つけ出しているという感じ。ポジショニングの配分を考えているだけ、ともいえますけど」
2014年シーズンには登録ポジションがMFからFWに変更になった。とはいえ、プレーを考える軸はぶれていないとも言う。
「今でも自分のタイプを絞らずにやっています。そういったなかで、ボールを受けに行く位置の工夫をするようになった。できるだけゴールに近いところ、相手にとって怖いところはどこかと。いったん後ろでボールを受けてボール回しに加わることはあっても、すぐに最前線に向かって走っていくという意識は強く持っています。
ゴールに向かう、ということが相手にとっても一番嫌だと思うので。その時のスピード感、相手との距離感を大切にしています。ゴールに向かっていかない限り、チームにも僕にもリズム感が生まれないので。一番大切にしています。そうしていると、たとえリズムの悪いときでもロングパス一発で裏に抜けられるということもありえますので」
深い考えを持っている点も、相変わらずだった。