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遂に代表で「居場所」を得た香川。
ハリル式ハイプレスはお手の物か。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/04/02 10:40

遂に代表で「居場所」を得た香川。ハリル式ハイプレスはお手の物か。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ドルトムントでも復調の兆しを見せていた香川真司が、日本代表でも攻守に存在感を発揮した。ハイプレスからのショートカウンターで、日本に香川の右に出る選手はいないのだ。

香川は、献身性とエゴを併せ持つ選手である。

 象徴的だったのは、チュニジア戦の後半15分のこと。清武弘嗣と交代してピッチに入った彼が最初にとった行動だった。彼らはチームメイトの方を向いて、大きな声で指示を出していった。その理由はシンプルだ。

「要求して自分がやりやすいようにすれば、もっとチームも活きるようになると思うので」

 香川は、日本人的な良さと海外にひしめいているエゴとをあわせ持った選手だ。

 チームのために汗を流すのはいとわない。実際にそのスタミナもある。ドルトムントでも走行距離は常にトップクラスだし、2011-12シーズンのブンデスリーガ前半戦では1試合あたりの平均走行距離は全選手の中でトップを記録していたほどだ。

 その一方で、チームの中心でいたい、少しでも上の景色を見たい、という飢えがある。ドルトムントの中心選手としてリーグで2連覇を果たし、クラブ史上はじめてドイツカップとの2冠を達成したときでさえ、ギラギラとした上昇志向はとどまることはなかった。むしろ、さらに強くなっていた。

 香川がゴールにこだわる理由もそこにある。ゴールを決めて目立つのは嫌いじゃないし、ゴールを決めることでしか味わえない快感に飢えている部分はある。ただ、何よりも大きいのは、自分がゴールを決められれば、自らの喜びとチームを幸せにする喜びを同時に味わえるからなのだ。

ザック体制では、香川の立ち位置は微妙なものだった。

 その意味で、ザッケローニ監督のチームでは限界があった。左FWとしてプレーしていた当時の代表では、クラシックな10番のようなゲームメイカーの役割と、FWとしてゴールを決める役割の両方を担えるという事実にやりがいを“見出そう”としていた。

 ただ、トップ下に入る本田圭佑のように自由度が高いわけでもなく、岡崎と内田篤人のように、監督の指示を忠実にこなすことが求められていたわけでもない。W杯の最中にこの2人に対して「私の指示を本当に実行しているのは右サイドのお前たちなのだ」とザッケローニ監督が伝えたことは象徴的なエピソードだ。

【次ページ】 代表が求めるサッカーに居場所がある、ということ。

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