セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
パルマの債務が8年で200億円急増。
映画顔負けの“国際超巨大詐欺”か。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/03/05 10:30
パルマ市長との会談を終え、メディアに囲まれるマネンティ。彼は果たして何者なのか、そしてその後ろにいる黒幕とは。
リーグ機構は支援を表明したが、他クラブは猛反発。
リーグ機構とFIGCは、公式にパルマFCへの支援を表明したが、これは“リーグ戦主催者による特定クラブへの肩入れ”と捉えられても仕方がない。彼らはパルマの運営コストについても、セリエAの残り19クラブに分割負担してもらおうと考えたが、決して少なくないクラブから下交渉の段階で猛反発をくらった。
「我々も2年前にクラブ破綻危機に遭った。そこから這い上がるため、血のにじむような倹約を重ねてきたし、この冬の補強も自粛した。負債まみれのパルマを咎めるどころか支援するなど、うちは断固断る」
極貧予算で残留を争うチェゼーナのルガレージ会長とフォスキSDの怒りはもっともだ。アタランタやキエーボ、ベローナといった、やはり低予算でやり繰りしている地方クラブだけでなく、ローマやナポリといった金銭的に余裕のあるクラブも支援には否定的だとされる。
パルマFCという一クラブの問題を他人に尻拭いさせるのは間違っている、という彼らの言い分は十分理解できるものだ。さもなければ、“イコールコンディションで競い合う”というスポーツの大前提を覆す悪しき前例を作ることになってしまう。
出場不可試合が4試合に達すれば、規則上、当該クラブはリーグ戦から追放される。“それならいっそ、パルマを排除して19チーム制にしてしまえ”、“パルマとの全試合を不戦勝扱いにすれば、全チームの条件は同じになる”という極論すら現実味を帯び始めた。
「マネンティの背後には、必ず黒幕がいる」
実際に困窮しているのは選手たちやクラブ職員たちだ。彼らには守るべき家族と生活があり、リーグと協会の支援には人道的な意味合いもある。パルマ支援への賛否は、いずれの立場にあっても、感情的に後味悪い結果を残すことになる。
ジェノア戦が行なわれるはずだった日曜日、チームはコッレッキオ練習場を開放し、ドナドーニの指導の下、大勢のファンの声援を受けながら、公開ミニゲームで汗を流した。
この日、これまで頑なに「クラブ株式は絶対に手放さない」と言い続けてきたマネンティ会長は、市庁舎を訪れた際に浴びせられた一般市民からの罵声がトラウマになったのか、「売却するかも」と、初めて弱気な発言をした。
だが、マネンティがここ1カ月の間演じてきた茶番劇を見る限り、彼はパルマFCがアマチームへと転落せざるをえないタイミングまで、帳簿上の破産をさせるまでのつなぎ役として利用されたようにも思える。
「マネンティの背後には、必ず黒幕がいるはずなのだ」(ピッツァロッティ市長)