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南野拓実、2ゴール1アシストの内実。
彼は3点差でもなぜ走り続けたのか?
posted2015/03/05 17:15
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
何も無理することはない。そんな時間帯にも貪欲さを失わずに前に進んだことに大きな意味があるのではないだろうか。
3点リードで迎えたアドミラ・バッカー戦の後半ロスタイム、左MFとして先発していた南野拓実はすでに2ゴール、1アシストを記録していた。退場者を出しておよそ70分近くを相手チームより1人少ない状態で戦っており、疲労もたまっていた。
それでも、ハーフウェイラインを少し越えたあたりでボールを拾った南野は、30m近くをドリブルで持っていき、ゴールへと向かっていく。ペナルティエリアにさしかかるところで相手選手の必死のクリアにあってしまったのだが……。
「あれはもうガス欠でしたね(笑)。早い時間から、けっこう走らないといけない状況だったので。ああいう場面でもシュートまでもっていけるように、あるいはシュートを決められるように、体力の面でも上を目指してやっていきたいです」
「もっと高い要求を自分自身にしていければ」
リーグで下から2番目、9位につけるアドミラ・バッカーが相手のアウェーゲームとはいえ、ザルツブルクにとって、決して簡単な試合ではなかった。味方FWのマルセル・ザビツァーが前半22分に退場を命じられていたからだ。もしも、この時点で先制ゴールを手にしていなかったら、あるいはこの前に先制ゴールを相手に奪われていたら、試合は違う展開となっていたかもしれない。
前半8分、この試合の最初のチャンスは相手チームに訪れた。左サイドからカウンターが始まり、右サイドに開いた敵エースのレネ・シッカーがペナルティエリアにさしかかるところでボールを持つ。そのままゴールへ向かおうとしたところで、高い位置から一気に自陣のペナルティエリアまで戻ってきた南野がボールを奪い、味方につなげる。
「そういうところもしっかりやりながら、攻撃にも参加するのをスタンダードにやっていかないと次のステップには行けないと思っていますし、もっと高い要求を自分自身にしていければいいなと思います」
あの場面に代表される守備での貢献について、当然のことのように南野は振り返った。