セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
パルマの債務が8年で200億円急増。
映画顔負けの“国際超巨大詐欺”か。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/03/05 10:30
パルマ市長との会談を終え、メディアに囲まれるマネンティ。彼は果たして何者なのか、そしてその後ろにいる黒幕とは。
差し押さえが始まり、24節は延期に。
今季3度目にあたる2月の給料未払いによって、パルマFCには、さらに勝ち点マイナス5のぺナルティが与えられることが確定した。
さらには、コッレッキオ練習場にあるクラブ資産の差し押さえが始まった。クラブ所有のトラックや社用車が接収され、本拠地タルディーニの監督室にある調度品や家具も、ロッカールームのベンチも競売にかけられるべく、さっさと当局から持ち去られた。
もはやパルマFCの口座には、4万ユーロに満たない額しか残っていない。ホームゲーム1試合分のスタジアム光熱費や、スチュワードと医療設備に関する人件費すらまかなえない。リーグ戦はまだ10試合以上も残っているのに、遠征費用もない。
5月末のシーズン最終節まで、カンピオナートを戦いぬく資金がパルマFCにないことを知ったリーグ機構とFIGC(イタリアサッカー協会)は、ようやく事態の重大さを悟って青ざめた。セリエAのクラブが試合開催能力を失うなど、前代未聞の不祥事だからだ。
FIGCのタヴェッキオ会長は、少ない経費で開催可能な無観客試合を提案したが、パルマの選手たちはプレーを拒否した。24節のウディネーゼ戦は代替開催日時未定のまま、延期が決まった。
経営陣糾弾の先頭に立った若きパルマ市長。
ウディネーゼ戦が行なわれるはずだった先月22日、根雪の残る本拠地タルディーニの前に1000人以上が集まった。血気盛んなサポーターだけでなく、老人や家族連れ、クラブ職員やフロントの人間も参加した大規模デモの目的はただ一つ、使途不明の巨額負債を作り放置してきた元会長ギラルディとピエトロ・レオナルディGD、そして就任後、空虚な口約束ばかり繰り返している現会長マネンティへの抗議だった。
「パルマFCはれっきとしたセリエAのクラブだ。マネンティよ、あなたが買ったのは単なるサラミ屋ではない!」
マネンティ糾弾の先頭に立ったのが、若きパルマ市長フェデリコ・ピッツァロッティである。