サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
日本代表に“背番号9”を確立する。
岡崎慎司が目論むミッションとは?
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/01/23 11:30
パレスチナ戦で、香川のシュート性のボールに鋭く反応してゴールを決めた岡崎慎司。ゴール前での強引さとクレバーさの最適なバランスはどこにあるのだろうか。
代表では、献身性と守備力で立場を確立してきた。
だがその一方で、日本代表における岡崎は、その献身性と守備力、それを支える圧倒的な運動量とで立場を確立し、チームを救う存在になってきたこともまた事実だ。2011年のアジアカップは、岡崎がシュツットガルト移籍の決め手となった大会でもあるが、当時でもまだそうだった。
「(当時は)守備もできるみたいな感じでスタートから使ってもらえたので、自分にとって大きな大会だったなと。それまではアジアの中でも、オーストラリアとか韓国相手にあんまり自分の良さを出せてなかったけど、あのときはいいところが出せた。ただ、点をとれたのがサウジアラビア戦だけだったのは満足してない」
守備面も含めて評価されたことはもちろん嬉しいが、フォワードとしては不本意。それが前回大会だったわけだ。
「強引に行く場面が90分で1、2回はあってもいい」
とはいえ、日本代表のサッカーはもちろんマインツでのサッカーとは違う。代表はメンバーが全体的に個の技術が高く、それを前提としたコンビプレーも確立している。個で狙う得点よりも、パスで崩した先の得点を良しとする傾向もある。反面、難しさがそこにはある。
「日本代表では味方が近くにいるから、そっちのほうがチャンスになるんじゃないかなと思うし、打たずにパスを出すのも気を使ってるわけじゃない。近い距離に味方がいるのが日本の良さだから。だけどそういう状況でも、強引に行く場面が90分間で1、2回はあってもいいのかな」
強引にでも自分でシュートチャンスを作り出し、打つ。その機会は代表では少ない。
「例えばマインツでやるような、もうしょうがないから(シュートに)行っちゃうみたいな、そういう場面も代表では意識的につくらなきゃいけない」
そう語っていた岡崎だが、今のところグループリーグは3試合で1得点。岡崎からすれば決して満足できる数字ではない。それでも今の岡崎は、やはりシュートに、そしてゴールにこだわる。
「最後のところで、こいつ点をとるなという役目は自分でありたいなと思うので、それを極めたい」
決勝まで含めた3試合。岡崎はここから、新たなフォワード像を確立しにかかる。