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牡馬は大混戦、牝馬は一強か!?
2015年のクラシックを占う。
posted2015/01/17 10:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO
昨年は皐月賞、ダービー、菊花賞のクラシック三冠も、桜花賞、オークスの牝馬二冠(秋華賞はクラシックには含まれない)もすべて勝ち馬が異なる、いわゆる「猫の目クラシック」となった。
今年はどんな戦いが繰りひろげられるだろうか。少し早いが、2015年のクラシックを占ってみたい。
結論から言うと、牡馬は大混戦、牝馬は一強をめぐる争いになるような気がする。
まずは勢力図がシンプルな牝馬から見ていきたい。
「一強」がどの馬かは言わずもがなかもしれないが、昨年阪神ジュベナイルフィリーズを制して2歳女王となったショウナンアデラ(父ディープインパクト、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)である。
とにかく、阪神ジュベナイルの勝ちっぷりが見事だった。2着馬との着差こそ半馬身しかなかったが、ゴールを通過する瞬間の勢いの差は相当大きかった。どの馬も最後に速い脚を使える、比較的ゆるい流れのなか、余裕を持って計ったように差し切った。
本番で「初めてのこと」がハマったショウナンアデラ。
それまでは好位から抜け出す競馬で3戦2勝の成績をおさめていたのだが、このときは、あまりいいスタートが切れなかったので後方からのレースとなった。
「こういう競馬も試したいと思っていた」と騎乗した蛯名正義はレース後に語った。普通、「初めてのこと」は、文字どおりトライアルで試すべきとされている。ガチンコ勝負の本番で未体験の形にハマると負けパターンになることが多いのだが、どっこい、後ろで溜めることで最後のとてつもない爆発力を引き出す結果となった。
こいつはちょっと、モノが違う。現時点でも化け物級なのに、今まさに成長して強くなっている真っ最中という感じがして、末恐ろしい。同じコースで行われる桜花賞はもちろん、折り合いがつくので、距離が延びるのも歓迎だろう。
まだ対決していない素質馬も控えているだろうが、今は、牡牝通じてこのショウナンアデラが頭ひとつ抜けた存在ではないか。
個人的な好みで応援しているのは、昨秋アルテミスステークスを勝ち、阪神ジュベナイルで3着となったココロノアイ(父ステイゴールド、美浦・尾関知人厩舎)だ。この馬が活躍すると、3代母(曾祖母)のマックスビューティに光が当てられる。JRAがCI(コーポレート・アイデンティティ)戦略で横文字の略称を使いはじめ、また、武豊が騎手デビューした1987年に桜花賞、オークスを圧勝した女傑である。鞍上の「元祖天才」田原成貴の華麗な騎乗フォームと相まって、あの馬の走る姿は、私が最も好きな競馬のシーンのひとつになっている。