ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
パー3は全米で10位、パー4は142位。
石川遼の弱点は“代名詞”ドライバー。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byAFLO
posted2015/01/14 10:50
かつて石川遼の代名詞であったドライバーだが、現在データはそれこそが彼の弱点であることを示している。世界屈指のアプローチを生かすためにも、磨きをかけてほしい。
ドライバーショットの種類をいくつ持っているか。
にもかかわらず、フェアウェイキープ率53.26%は169位と、完全に「不可」である。ボールが勢いよくフェアウェイを叩いていれば、転がって飛距離部門の順位も上がりそうなのだが、ふと気づくと、ロープの外の茂みで石川が思案していることが幾度となくある。
好ポジションを確保できなければ、せっかく安定したアイアンショットがあってもそうは狙えない。両サイドに曲げると、パー5では2打目でリカバリーが可能だが、パー4ではそうはいかず、そのホールでの「不可」に直結してしまうのである。
昨年の春頃から、自身とドライバーというクラブの関わりについて「好きだけど、ヘタ」と自虐的に言うようになった。
「ドライバーショットで、いくつ種類を持っているかというのもアメリカツアーでは大事。自分がいま持っているのは、広いパー5で打つドライバーショットと、アゲンストの風が吹いた時のドライバーくらい。でも『左からの風ならこう、右からならこう』というものがない。ただ風を切り裂いて、真っ直ぐ行けばいいと思っていたけれど、全英、全米、全米プロ……と、メジャーなどで池がからんだり、横風が来たりした時に通用していない。
絶対に左に打ってはダメなときに左に行ったりする。絶対に左に行かないショットを持っている選手は、それで10球のうち8球はフェアウェイの右サイドをとらえられる。でも僕は10球打って3、4球は左に行ってしまうレベル」
「ゴルフは、自分が狙ったところにボールを運ぶもの」
2015年、石川がテーマにしたのが「狙う」という、ある意味で当たり前のフレーズである。
「やっぱりゴルフっていう競技は、自分が狙ったところにボールを運んでいくもの。だからパターって一番楽しいんですよね。狙って、カップに入れるわけですから。アプローチ、パターがゴルフの醍醐味なんですよ。でもショットになると、スイング云々を考えてしまいがちで、自分もそうだったと思う。“狙う”ということを、もっともっと意識したい」
狙うのはカップだけではない。スイングづくりに固執し「ボールは、コースの中にあればいい」なんて具合に、冗談めかして軽視してきたドライバーショットも、ターゲットを狭めていく。
ドライバーという石川遼ブランドの原点、狙うというゴルフの本質への回帰は、初勝利へのパズルを埋める残り少ないピースになるかもしれない。
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