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パー3は全米で10位、パー4は142位。
石川遼の弱点は“代名詞”ドライバー。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2015/01/14 10:50

パー3は全米で10位、パー4は142位。石川遼の弱点は“代名詞”ドライバー。<Number Web> photograph by AFLO

かつて石川遼の代名詞であったドライバーだが、現在データはそれこそが彼の弱点であることを示している。世界屈指のアプローチを生かすためにも、磨きをかけてほしい。

75~100ヤードからのアプローチは全米1位。

 要因は何だろうか。

 ショットの各技術でいうと、石川に「優」が付くのは短い距離を正確に打つ、ウェッジでのプレーである。年末にテレビなどでも紹介されていたのでご存知の方も多いかもしれないが、75~100ヤードの地点から放たれたショットが、ピンまでに残す平均距離は、米ツアーの全選手で最も優秀な数字を記録した(ちなみに100ヤードから125ヤード部門での1位は松山)。

 つまり、パー3のような平らなティグラウンドからグリーンを狙うアイアンショットや、チャンスメークのカギとなるウェッジゲームは、石川はすでに世界のトッププレーヤーに見劣りしないと言っていい。

 加えて、フェアウェイバンカーからパーオンする率61.2%は、全体6位とこちらも「優」。“ダフらせて”ボールを打つグリーンサイドのバンカーショットとは違い、フェアウェイバンカーでは、芝生以上にボールをクリーンに叩く技術が要求される。こちらも石川のアイアンショットのレベルの高さを示す数字のひとつである。

 グリーン上のプレーはどうだろうか。米ツアーで、パットの精度を示す指標として最も重宝されている「ストロークゲインド・パッティング」部門においては、深刻な腰痛による練習不足がたたった2シーズン前は-0.665の173位だったが、故障も癒えた昨季は+0.096の81位。「不可」から一転して「可」、「良」と言ったところまで引き上げた。

「結局、違いはドライバーなんですよ」

 それでは弱点は? 石川は言う。

「結局、違いはドライバーなんですよ」

 プロデビュー前後の鮮烈な活躍でクローズアップされた時、石川遼の代名詞は「ドライバー」だった。ところ構わず振り回して、誰よりもピンに近いポジションをキープした無邪気な攻め方が規格外と評価された。少なくとも、日本では。

 飛距離でいえば、石川は米国でも決して飛ばない選手ではない。昨季の平均291.0ヤードのドライビングディスタンス部門では全体80位。ただし、それは他を圧倒するほどのものでもない。少なくとも、日本とは違って。

【次ページ】 ドライバーショットの種類をいくつ持っているか。

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