フットボール“新語録”BACK NUMBER
2015年はシステム論が大きく変わる!
バイエルンが先導する“可変型”の波。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2015/01/01 10:50
グアルディオラが率いる今季のバイエルンは、3バックを基本にしつつも4-3-3や3-5-2など様々なシステムを採用。しかも、戦況に応じてゲーム中にも変更するため、相手チームは対応しきれない。
「ペップの暗号」と名づけられた日替わりぶり。
当然、ドイツ人記者たちも混乱している。スポーツビルト誌は「ペップの暗号」と名付けて、ローマに7-1で完勝した「3-4-3」、ブレーメンに6-0で勝利した「4-3-3」、パーダーボルンに4-0で勝利した「4-2-3-1」を誌面上に並べた。他にも「3-5-2」や「4-1-4-1」もあり、とても同じチームとは思えないバリエーションだ。
いったいどんなロジックで選手たちは動いているのか? 仮に
【GK】ノイアー
【DF】ダンテ、ボアテンク、ベナティア
【アンカー】シャビ・アロンソ
【左MF】ベルナト 【中央MF】ゲッツェ、ラーム 【右MF】ロッベン
【FW】リベリー、レバンドフスキ
という「3-5-2」のシステムだったとしよう。
昨年9月、ダンテは『tz』紙のインタビューで「ときに3バック、ときに4バック。いったいどうなっているの?」と訊かれると、こう口を開いた。
「ちょっとだけ教えよう。まず相手が何をするかにかかっている。もし片方のサイドを相手が攻めてきたら、3バックの1人が中盤をサポートするためにサイドに移動する。それに応じて残り2人のDFはスライドし、同時に中盤の選手のひとりが逆サイドのサイドバックの位置をケアする。つまり4バックになるということだ。僕たちはDFラインを下げず、常に高い位置で守りたい。そのうえで大事なのは、守備者同士の間に穴を作らないことだ」
右と左では守り方が大きく異なる。
ここでのポイントは、3バックがサイドにスライドしたとき、逆サイドを中盤の誰がケアするかだろう。左サイドは左MFのベルナトがオーソドックスにそのまま下がることが多いが、右サイドは中盤からラームが大雑把に下がることが多いように見える。
それによって右MFにロッベンやミュラーが入っても、守備に引っ張られずにすんでいるのではないだろうか。もしこの見立てが正しいなら、左右非対称のシステムということになる。