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GI馬10頭競演のグランプリ有馬記念。
改造後の中山2500mの走り方とは?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/12/27 08:00
ワンアンドオンリーの父ハーツクライは、2005年の有馬記念で果敢な先行策を見せ、圧倒的な人気だったディープインパクトに生涯初となる黒星をつけた。
ラストランの4頭、好走が期待できるのは?
ここがラストランという馬が4頭出走してくる。
なかでも有終の美を飾る可能性がもっとも高そうなのが、牝馬三冠制覇、ジャパンカップ連覇、ドバイシーマクラシック優勝という輝かしい足跡を残してきた女傑ジェンティルドンナ(牝5歳、父ディープインパクト、栗東・石坂正厩舎)だ。
今年のジャパンカップで3連覇を狙うも、ゆるい馬場に持ち味を殺され4着に敗れた。不完全燃焼に終わった悔しさを晴らすべく、ここに駒を進めてきた。
有馬記念で牝馬は苦戦する傾向があり、また、この馬自身、中山を走るのは今回が初めてとなる。が、今年の中山の馬場は路盤を含む改造工事が施され、排水性とクッション性が改善された。12月にリニューアルオープンしたばかりだから、例年より良好な状態が見込める。切れ味を武器とするこの馬にとっては歓迎すべき材料だ。
ジャスタウェイ、中山2500mなら食い込める。
レーティング世界トップを守りつづけてきたジャスタウェイ(牡5歳、父ハーツクライ、栗東・須貝尚介厩舎)も、ここを最後に引退する。
ベストは昨年の天皇賞・秋、今年のドバイデューティフリーを圧勝した1800~2000mであることは明らかだが、距離が長いと思われ、しかも復調途上だった前走のジャパンカップで2着と「世界一」の意地を見せた。中山の2500mは、コーナーを6回も回り、しかも2周目が内回りコースだからごまかしが利く。そのぶん、マイルや中距離を得意とする馬にとっては、力どおりに決まる東京の2400mより上位に食い込みやすい、と見ることもできる。
手綱をとる福永祐一と須貝調教師は、「ジャパンカップのときより状態がいい」と口を揃える。世界中を驚かせた、あの爆発的な末脚をもう一度見られる可能性はけっして少なくない。
武豊が騎乗するトーセンラー(牡6歳、父ディープインパクト、栗東・藤原英昭厩舎)と、内田博幸が乗るヴィルシーナ(牝5歳、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)もここがラストランとなる。ともに内の好枠を引いた。これといった逃げ馬は見当たらないだけに、ヴィルシーナが先手をとる可能性もあるのではないか。いずれにしても、ふたりの名手がどう立ち回るか、トリッキーなコースだけに楽しみだ。