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<駅伝王者の座をかけて> 未来を決める監督の戦略。 ~駒大・大八木弘明&東洋大・酒井俊幸~ 

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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photograph byShunsuke Mizukami

posted2015/01/01 10:40

<駅伝王者の座をかけて> 未来を決める監督の戦略。 ~駒大・大八木弘明&東洋大・酒井俊幸~<Number Web> photograph by Shunsuke Mizukami

駒澤は少数精鋭だからこそ選手全員を観察できる。

 東京・世田谷の住宅街に、駒澤大学陸上競技部の学生寮はある。その名も「道環寮」。目の前に大学のキャンパスと多摩川の土手が広がる絶好の立地だ。

 強豪校にしては、寮の規模は小さい。招かれた食堂にはパイプ椅子が40脚ほど。つまり、部員数はそれほど多くない。少数精鋭は、駒澤の強さを語る上でのキーワードだろう。

 大八木が笑って認める。

「めちゃくちゃ少ないですよ。だけど、そのぶん全員が見られるというか。それは面白い。良いところかなァと」

 選手をよく観察することが、チーム作りの基本ですか?

「そうだね。どれくらい高い意識で取り組んでいるか、練習を見ていたらわかるので。今のチームは勝てそうか、そうでないか。それもだいたいわかります(笑)」

 世間的には強面で知られる大八木だが、選手への心配りはじつに細かい。毎日、選手とともに寮で寝起きし、ささいな表情の変化にも目を光らせる。

昔は近寄りがたかった大八木監督が、今は対話重視に。

「グラウンドに一番長くいるのも監督ですよ」

 そう語るのは、今季より新たにコーチに就任した安西秀幸だ。安西は、'08年に箱根駅伝を制した際の主力であり、当時の主将。現在は実業団の日清食品グループで現役を続けるかたわら、後輩の面倒を見ている。

 今季のチームは、安西の目にどう映るのか。大八木の変化についても訊いてみた。

「僕らのころと違って、選手たちの話をよく聞きますね。選手と相談して練習メニューを決めたり。全日本の区間配置を決める際は、中村や村山にも意見を聞いてました。けっこう昔は近寄りがたいイメージがあったんですけど、今は対話重視。それが今シーズンはうまくいってるんじゃないでしょうか」

 卒業後、複数の実業団を渡り歩き、様々な指導者から教えを受けてきた安西は、大八木の変わらない個性として熱心さを挙げる。

「グラウンドにずっといるんですよ。軽いジョグの日なんて、指示だけ出して帰ってもいいのに。監督は全員の練習が終わるまで必ず見てます。他大学出身の選手に聞いても、主力しか見ない監督って多いんですね。でも、大八木監督は故障している選手まで見ますから。だから先読みがすごいんです」

【次ページ】 「ずっと監督に見守られていた」と選手からも信頼。

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