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インザーギ、モンテッラ、ストラマ。
アラフォー監督たちの「出世競争」。
posted2014/12/25 10:50
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
イタリア中がクリスマス気分に浮かれていた12月中旬、代表監督コンテの呼びかけによる異例のセリエA監督会合が、ミラノで行なわれた。
来年2月のFIFAカレンダーにない代表合宿への選手派遣要請をめぐって、異を唱える首位ユベントスのアッレグリらが、コンテと丁々発止のやり取りをする傍らで、席を近くした3人の若手監督たちは、シーズン後半戦を見据え、積極的に意見交換を交わしていた。
'73年生まれのインザーギ(ミラン)に、'74年組のモンテッラ(フィオレンティーナ)、そしてリーグ最年少の'76年組ストラマッチョーニ(ウディネーゼ)の“アラフォー監督”3人は、今季のセリエA前半戦にあって、それぞれが独自の存在感を放った。
モンテッラは現役時代のイメージと裏腹に、職人肌。
フィレンツェのクラブを率いて3年目のモンテッラは、奔放なストライカーに見えた現役時代のイメージとは裏腹に、緻密な戦術指導で知られる。今季も相次ぐ故障者に泣かされながら、2年連続でELグループリーグ首位突破を果たした。
エースFWロッシは長期離脱中で、快足MFクアドラドもモチベーション低下で調子を落とす中、指揮官は21歳のFWババカルやU-21イタリア代表MFベルナルデスキといった期待の若手アタッカーを鍛え上げている。その一方で、4年前のブンデスリーガ得点王の再生に腐心することも忘れない。
モンテッラは、アウェーでの13節カリアリ戦で、今季ノーゴールだったFWマリオ・ゴメスへキャプテンマークを与えた。今年春に負った膝の故障で、ゴメスはブラジルW杯行きを逃し、今季開幕後も再度太ももを痛めていた。
“悔恨や不運をゴールで乗り越えろ”という指揮官のメッセージを受け取ったゴメスは、4-0で大勝したゲームの3点目を豪快に突き刺し、「ようやく肩の大きな重しが取れた」と、260日ぶりのゴールに安堵の表情を見せた。
現場をひたすら重視し、手持ちの戦力のやりくりに冴えを見せるモンテッラは、若くして職人肌の指導者だといえる。