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インザーギ、モンテッラ、ストラマ。
アラフォー監督たちの「出世競争」。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/12/25 10:50

インザーギ、モンテッラ、ストラマ。アラフォー監督たちの「出世競争」。<Number Web> photograph by AFLO

アラフォー監督3人にディ・フランチェスコ(左)を加えた4人は、戦術談義に花を咲かせた。

「インザーギときたら、ここ2カ月でめっきり老けた」

 来年2月に再開するELのベスト32ラウンドで、プレミアの雄トッテナムとの対戦が決まったとき、「アンラッキーすぎる」と地元メディアは一斉に悲観した。だが、モンテッラは「強いチームには、遅かれ早かれぶつかるものだ。ま、やってやるさ」と軽妙に応えた。彼の飄々とした物言いは、闘志の裏返しなのだ。

「インザーギときたら、ここ2カ月でめっきり老けたもんだ。監督業はしんどいものだとあいつもわかってきた頃だろう(笑)」

 10月下旬、サンシーロでの対戦を前に現地紙インタビューへ応えたモンテッラは、ミランでセリエA監督デビューを果たした元ライバルFWに、彼なりの表現でエールを送った。

 旧知のモンテッラから、ついでに「FWとしては下手くそだった」と茶化されたインザーギは、苦笑混じりの会見で鮮やかに切り返した。

「もし、(自分のように)通算316ゴールも挙げるFWがいたら、是非会わせてほしいもんだな!」

ミランの指揮官は、オーナーの相手も必修事項。

 直接対決は1-1の痛み分けに終わったが、フィオレンティーナ戦を境に、ミランは足踏み状態に入った。指導者歴が3年にも満たないインザーギは、試練を迎えている。

 アバーテとデシーリオのイタリア代表SBコンビが故障し、守備が不安定なまま、中盤の組み立てが覚束ない。シーズン序盤の勢いは鳴りを潜め、総合力として現チームの限界が見えてきた。

 オーナーであるベルルスコーニは、今季に入って毎週金曜のミラネッロ練習場訪問を恒例化した。12月中旬の訪問で「インザーギは、選手たちにとって長兄のように頼れる存在だ」と持ち上げたが、「この分なら来季のCL出場権は確実にとれる」とプレッシャーを与えることも忘れなかった。ミランの指揮官とは、このワンマン・オーナー相手の処世術が試される難職でもあるのだ。

 インザーギは「3位獲得は現状では難しい」と率直に述べることでオーナーの暴走をいなしつつ、15節ナポリ戦での一勝で息をついた。

【次ページ】 平等主義を貫くインザーギ。

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