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オシムが語るバロンドール。
「もう決着はついているだろう」
posted2014/12/18 16:30
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「イビチャ・オシムの『オシム問答』」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
▼Lesson.89 目次
【1】 〈今週の「オシム問答」〉
「メッシとロナウド以外の選手を評価するのも必要だが……」
【2】 〈オシムとの対話〉
「日本人は厳しい時間が続くと、責任感、緊張感を維持できない」
【3】 〈ゆるゆる取材日記レロレロ〉
<11月28日~12月7日>
【4】 〈「オシムの教え」〉
「2度のナビスコ杯優勝は、それだけですでにプラスアルファだ」
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【3】 〈オシムとの対話〉
「日本人は厳しい時間が続くと、責任感、緊張感を維持できない」
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――それでちょっと別の話を。今年もFIFAバロンドールは例年のようにメッシとロナウドが有力候補で、それにノイアーをはじめとするドイツ勢が……。
オシム:残念ながら「例年のように」になってしまった。常に二人がトップであるのは、サッカーにとっていいことではない。考え方を少し変えるためにも、一度は二人以外がトップになった方がいい。
――しかし今年に関しては……。
オシム:しかし今日は幸運なことに、他にも2~3人いるのにと自問することができる。メディア的に見れば二人は常に話題の中心だが、今年の彼らのパフォーマンスをふり返ると、どちらもワールドカップは良くなかった。彼らと同じかそれ以上のことをしながら、知名度では劣っている他の選手たちに対して公明正大であるといえない。二人に対する期待はとても大きいが、今年はそれに応えたとはいえなかった。チームでも個人でもそうだ。
しかしそうはいっても、彼ら以上に優れた選手がいるわけでないのも確かだ。彼らのプレーのレベルは卓越している。チャンピオンズリーグではとりわけ顕著で、彼らを無視することはできないし、低く評価することもできない。それが的確で正しい評価だ。だから二人のうちからどちらかを選ぶ。どちらになるかはチーム次第だ。チームがどれだけいいプレーを実践しているか。私が見るところでは、今はレアル・マドリードのほうがバルセロナよりもちょっと面白くなった。バルセロナも悪くはないが、少し前の彼らほどの面白さも速さもない。レアルはアドバンテージを得ることに成功した。少なくともヨーロッパでは、レアルの方がバルサよりも面白い。
ただ、以前とは違って、今は二人だけに頼っているわけではない。今ではチームも、彼ら二人に依存せずにプレーができるようになった。ロナウドの得点だけが勝敗を決めるわけではなくなったし、試合に勝つためにメッシの素晴らしいプレーに必ずしも頼る必要はなくなった。今はメッシだけではなく、他の選手にもそれができるようになった。バルセロナにはネイマールもスアレスもいる。その点でよりシリアスになった。
とはいえ結局のところ、彼ら二人が今も世界最高の選手たちだ。
サッカーにとってはそれはいいことなのだろう。
――つまりドイツの選手たち、ノイヤーやクロース、ミュラーらにはチャンスはほとんどないですか?
オシム:あるとは思えない。それは何のことだ?
――バロンドールです。
オシム:もう決着はついているだろう。二人のどちらかで決まりで、他の選手にチャンスはない。二人以外の選手は、もっと他のところで評価すべきだ。バロンドールは二人が絶対の候補で、3人目が入り込む余地はない。二人ほどの選手はほとんどいないからだ。サッカーにとってはそれはいいことなのだろう。サッカー史上でも最高クラスの選手が二人いることが、どうして問題を引き起こすのか。
恐らく日本人も何人かが、(世界レベルでの)地位を確立すべきなのだろう。
――今年は厳しいです。岡崎がよかったぐらいで……。
オシム:それはメンタリティや責任感の問題だろう。というのも日本人選手は、厳しい時間が長く続くと、責任感や緊張感を維持することができないからだ。たしかに難しいことだが、ヨーロッパのビッグクラブは常にそうだ。毎週の試合にかかるプレッシャーは並大抵ではない。試合ばかりか練習もそうで、どの練習も真剣勝負といえる。試合に出られるかどうかがそこで決まるからだ。そこで常に高いテンションを維持し続けるのは、メンタル面でもフィジカル面でも容易ではない。
――だからいい試合をするときもあるが、それをずっと続けられない。
オシム:精神面だけでも、高いレベルを維持し続けるべきだと私は言いたい。日本代表が今よりもずっとたくさん試合をこなせば、選手たちは常に高い緊張感を維持することを求められ、モチベーションも自ずと上がる。グループとしてテンションを維持し続けられる。それが私の意見だが、アギーレに押し付けることはできない。
日本はまだちょっとチームとして若く、それなりの自信に溢れている。サポーターやメディアなど、周囲のサポートも厚いし信頼も高い。チームはさらに進歩の余地がある。誰かが限界に行きついたわけでもないし、チームとしても限界に突き当たってはいない。能力がある以上、さらによくすることができる。もう少し経験を積めば、日本はもっとよくなる。
続きは、メルマガNumber「イビチャ・オシムの『オシム問答』」でぜひお読みください。