F1ピットストップBACK NUMBER
ハミルトンとロズベルグの小さな差。
6年ぶり戴冠の決め手は「タイヤ」?
posted2014/11/30 10:40
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
メルセデスAMGのチームメート同士でタイトル争いが繰り広げられた2014年。その決着は最終戦アブダビGPでついた。
予選2番手からスタートでトップに立ったルイス・ハミルトンに対し、PPスタートのニコ・ロズベルグはスタートで伸びず2番手。その後は徐々にハミルトンとの差が開き、中盤にはMGU-K(運動エネルギー回生システム)にトラブルが発生してペースダウン。ハミルトンはロズベルグを周回遅れにして勝利し、2008年以来6年ぶり2度目のチャンピオンに輝いた。
ロズベルグにとってはトラブルに泣かされた形となった最終戦だが、メルセデスAMGのエグゼクティブディレクターを務めるトト・ウォルフは、ハミルトンの1年間のパフォーマンスを讃えた。
「ニコには申し訳ないことをした。だが、アブダビGPの一戦だけをシーズンのハイライトにするのは間違っている。チャンピオンシップは19戦すべての合算なのだから。ニコが5勝だったのに対して、ルイスが11勝を挙げたことを忘れないでほしい」
確かに今シーズンのハミルトンは、これまでとは明らかに変わった。それを象徴していたのが、予選とレースの成績の比較だ。
予選の速さよりも、レースでの安定感が目立った今季。
これまでのハミルトンは、予選では速いが、その速さゆえレースでは時として安定感に欠ける戦い方が少なくなかった。それが今年は、予選の速さよりレースでの安定感が目立つようになった。実は今シーズン、ポールポジション回数でもチームメートのロズベルグが11回と、ハミルトンの7回を上回っている。
ハミルトンのパフォーマンスエンジニアを務めるジョック・クリアは、今回のハミルトンの6年ぶりの復活を次のように評価した。
「2014年シーズンを迎えるにあたって、私はルイスと徹底的に話し合った。それはレースに対するアプローチを変えようというものだった。確かにそれまでのルイスは予選での素晴らしいパフォーマンスに比べて、結果が伴わないレースが少なくなかった。しかし、我々は力強いマシンを手にすることがわかっていたから、レースで良い成績を出すことに集中すべきだと説いたんだ。そして、ルイスもそれを理解してくれた」