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日本アイスホッケーを“背負った”男。
福藤豊が32歳にして海を渡る「遠謀」。
posted2014/12/01 16:30
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph by
Yoshitaka Kikuchi
チームスポーツ競技において、選手個人が果たせる役割は自ずと限られてくる。
だが時として、個人が競技そのものの“未来”を背負わされることがある。
日本のアイスホッケーは現状、マイナースポーツといえるだろう。
女子日本代表はソチ五輪に出場し脚光を浴びたものの、男子は自国開催枠で出場した長野五輪を除けば、五輪出場は1980年のレークプラシッド五輪が最後という状況だ。
毎年開催される世界選手権でも、強豪国ひしめくトップ・ディビジョンには入れず、1つ下のディビジョンでも優勝できずにいる。
日本国内に目を転じると、サッカーやバスケットなどと同じくアイスホッケーも企業に支えられ、かつては日本リーグもそれなりに盛り上がっていた。だが、企業の業績不振とともに次々にチームも解体。
2003年から国内だけではリーグ運営が難しくなり、韓国や中国などを加えたアジアリーグとして生き残っている状態だ。しかし都市圏にはチームが存在せず、ローカル化の一途を辿っている。
日本人で初めてNHL公式戦に出場した福藤豊。
そんなアイスホッケー界で、明るい話題を振りまく男がいる。
2003年に世界最高峰リーグ、北米アイスホッケーリーグ(NHL)のロサンゼルス・キングスからドラフト指名を受けた福藤豊選手(GK)だ。
福藤は翌2005年にキングスと2年契約を結び、2007年1月に日本人として初めてNHLの公式戦出場を果たした。当時は日本でも大きなニュースになっていたので、記憶されている方も少なくないはずだ。
そんな福藤が今シーズンから、北欧デンマークのトップリーグのチーム、エスビアウ・エナジーに移籍したのだ。
デンマークリーグ移籍に至るまでの、NHL以降の福藤の足取りを振り返ってみよう。
キングスとの契約が終了した2007年以降も福藤は米国に留まり、NHL傘下のマイナーリーグに所属しプレーを続けた。2009年からはオランダリーグに1シーズン在籍した。
2010年からはアジアリーグの日光アイスバックスと契約し、国内復帰を果たす。昨年までの4シーズンはチームのみならず日本代表不動のGKとして活躍している。