オリンピックへの道BACK NUMBER
冬季五輪招致から突然オスロが撤退。
理由は財政負担と、冬季競技への愛!?
posted2014/10/26 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JMPA
2022年の冬季オリンピック開催地は、来年7月の国際オリンピック委員会(IOC)の総会で決定される。招致活動も佳境といってよい時期にあるが、決定を前に思わぬ事態に陥っている。最終候補として残っていた3都市のうち1都市が招致活動を断念し、2都市の一騎打ちになったからだ。
では、候補が2都市となったことでどのような問題が生じているのか。
もともと、2022年の招致活動は、波乱含みの展開で今日まで進んできた。
当初、立候補に関心を示していた都市は多数あった。ミュンヘン(ドイツ)、ジュネーブ(スイス)などの大都市をはじめ、ウインタースポーツに実績を持つ都市もいくつか含まれていた。
その後、実際に立候補したのは6都市だったが、今年7月の1次選考を前に、ストックホルム(スウェーデン)、クラクフ(ポーランド)、リヴィウ(ウクライナ)が撤退。残る北京(中国)、アルマトイ(カザフスタン)、オスロ(ノルウェー)の3都市がそのまま通過し、最終選考へと進むことになった。
最有力候補だったオスロが撤退。
ところが、この10月になってオスロも撤退し、結果的に北京とアルマトイだけが残った。
実は本命として考えられていたのは、いや、開催都市に選ばれてほしいという関係者の期待を集めていたのはオスロだった。
その理由には、アルマトイと北京への不安がある。
1次選考時に各都市への評価が発表されている。アルマトイはカザフスタン最大の都市であり、2011年に冬季アジア大会を開催してはいるが、全般に低い評価にとどまった。
北京は、雪上競技を郊外都市で行なう計画だが、雪不足への懸念などが指摘された。また、環境問題についての不安もないわけではない。
一方、オスロはほとんどの項目で最高の評価を得た。
オスロは62年前ではあるがオリンピック開催の実績がある。さらに、ノルディックスキー世界選手権やワールドカップなど、大会の開催経験が豊富であること、冬季競技全般への人気や理解がきわめて高いことも高評価の理由だ。競技によっては、日本代表選手であっても、国内よりオスロでの方が知名度が高いケースも珍しくはない。