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ダノンシャークが競り勝ったマイルCS。
淀の直線に見た「120%」の叩き合い。
posted2014/11/25 11:10
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
今年のマイルチャンピオンシップ(11月23日、京都芝外回り1600m、GI)を制したのは、連覇を狙ったトーセンラーでも、3歳の快速王ミッキーアイルでも、重賞未勝利ながら3番人気に支持されたフィエロでもなく、昨年このレースで1番人気になり、3着に惜敗していたダノンシャーク(牡6歳、栗東・大久保龍志厩舎)だった。
最内の1番枠から3歳牝馬のホウライアキコが勢いよく飛び出し、ハナに立った。外目の15番枠から出たミッキーアイルもスムーズなスタートを切る。
スタート直後、ミッキーアイルが、内から先頭に立った馬と馬体を離して2番手を行き、徐々に加速していく……というシーンは、完勝した前走スワンステークスのリプレイのようだった。前走は3コーナー手前で内のベルカントをかわしてハナを奪い、そのまま押し切ったのだが、今回はホウライアキコがハナを譲らない。
はじめて控える競馬をさせられたミッキーアイルは……。
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ミッキーアイルは、デビュー以来初めて、ずっと2番手に控える競馬をした。いや、させられた。
「追いかける形になり、力んでしまった」と鞍上の浜中俊が言ったように、自分の形を崩し、本来のリズムを失ってしまう。
それでも、3歳マイル王の意地を見せるべく、直線入口で果敢に先頭に躍り出た。
先頭に立ったミッキーアイルが内に切れ込んだことによって、馬群のなかで脚を溜めていた福永祐一・フィエロの前があき、進路がひらけた。しかし、直線に入ってすぐのところなので、ゴールまでまだ400mほどもある。もう少しスパートをかけるタイミングを遅らせたいところだが、今ここを通らないと、せっかくできた馬群の隙間がとじてしまい、行き場を失う恐れがある。
福永は、すぐさまフィエロをその隙間に導いた。
「何もかもスムーズで、上手くいきすぎて、思った以上に早く前があいてしまった」
だが、ここを通ったからには一気にゴールを目指すしかない。フィエロは、内のミッキーアイルと外のグランデッツァの間から抜け出し、さらにスパートをかけた。