プロ野球亭日乗BACK NUMBER
原巨人、屈辱の4連敗の全真相。
采配にも及んだ、菅野不在の影響。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/10/20 12:35
試合中、何度もバッティングフォームの仕草を繰り返していた原監督。シーズンを通して湿りがちだった打線は、最後まで火を噴かなかった。
両チームにとって初戦がカギだった。
現行のCSのシステムは、ファーストステージを勝ち上がってくるチームには、ゲーム慣れして、しかも勢いという有利さがある。一方、1位通過して待ち受けるチームは、しばらく実戦から離れている調整の難しさがあるが、最初の2試合では投手起用に有利さがある上に、1勝のアドバンテージもある。
初戦が両チームにとってカギだった。
ただ初戦を取ることで、よりアドバンテージが大きいのは1位通過のチームなのだ。1位通過のチームは初戦を取ってしまえば、圧倒的に優位な立場でシリーズを戦えることになる。特に今年の両チームで言えば、シーズン終盤の9月に直接対決で3連勝と圧勝してきた巨人は、初戦をとってしまえば、精神的にも一気に相手を飲み込んで8割方は勝利を手に出来るはずだったのである。
そういう意味では第1戦の先発投手にはファーストステージを勝ち上がってきたチームの勢いを止めて、流れを作るという単なる1勝以上の大きな仕事があった。それはシリーズの命運を握る役割といっても良かった。
シーズン終盤に突然消えた、巨人のエース。
だが、そのカギとなる投手、エースが巨人はシーズン終盤に突然、消えたのである。
これは机上の計算かもしれないが、菅野の今季の実績からしたら7回を2、3点で計算できたはずだった。しかし菅野の替わりに第1戦の先発を任された内海哲也投手も、これまで何度も修羅場をくぐってきたという点では、その任にない、資格のない投手とは言えない。ただ、今季は開幕からなかなか勝てずに、序盤にフォームを崩し、その後は立ち直ったものの、全盛期の安定感がないのも事実だった。
2番目、3番目の投手としてなら、大きな戦力となるが、ここ一番を任せるには、少なくとも今年の成績では不安が残った。
その不安があらわれたのが、初回に投球数わずか8球で4番のM・ゴメス内野手に浴びた2ランを含め、序盤の4失点だったのである。
結果的にこの初戦を阪神がとったことで、ファーストステージを勝ち上がった勢いに拍車がかかり、巨人は後手に回った焦りが、さらにチームの歯車を狂わせることになった。