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原巨人、屈辱の4連敗の全真相。
采配にも及んだ、菅野不在の影響。
posted2014/10/20 12:35
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
屈辱の敗退だった。
セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージは1位通過の巨人が、2位の阪神に4連敗、スイープで敗れ去った。CS制度導入以来、4連敗での敗退は史上初という巨人にとっては惨めな結末だった。
「敗軍の将、何とか……というね。1試合1試合、死力を尽くして戦ったが、力及ばず。選手は最後の最後まで頑張ってくれた」
敗退が決まった第4戦の試合後の会見。インタビュールームにやってきた巨人・原辰徳監督は用意されたタオルで顔を拭うと、静かにこう語った。
「ここからが長丁場になる」はずだったが……。
最後は力負けだった。
「まだまだここからが長丁場になる」
3連敗して王手をかけられた第4戦の試合前のミーティング。原監督はこう選手に言葉をかけて士気を鼓舞したが、それも空回りだった。
先発の小山雄輝投手が決戦の雰囲気にのみ込まれ、ボールがことごとくうわずった。1回にはM・マートン外野手の3ランと福留孝介外野手のソロ、2回には西岡剛内野手の2ランと3本の本塁打を浴び6点を奪われて万事休す。しかも、打線は相変わらず決め手を欠いた。
初戦から、走者を出すものの決定打が出ず、この試合も得点はソロ本塁打3本と犠飛による4点だけ。10残塁と残塁の山を築いて阪神投手陣の術中にはまった。
「投打のバランスで、相手が上回った。うまく噛み合わなかった」
原監督の言葉通りにチグハグの連続だったシリーズ。ただ、振り返ってみれば、巨人が勝てなかった理由、敗れ去った理由は明白に見えている。
菅野智之投手を欠き、エース不在の戦いだったこと――それは単に一人の投手を欠いた以上に、巨人には戦略的に大きな痛手だったということだ。