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“自己犠牲”徹底の巨人にどう挑む?
点が取れない阪神に必要な1つのこと。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2014/10/15 12:45

“自己犠牲”徹底の巨人にどう挑む?点が取れない阪神に必要な1つのこと。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

首位打者を獲得したマートンは、阪神打線のまさに中心。足や小技を絡めて確実に点を取ってくる巨人に対抗するには、打線の奮起が必要だ。

5度先頭打者を出し、1度しか走者を進められていない。

 CSファーストステージ2試合で阪神は5度、安打で先頭打者を出して、送りバントを成功したのは第2試合の初回に上本博紀内野手が決めた1回だけだった。

 その他の4回を見ていくと、第1試合の4回に先頭のM・マートン外野手の右前安打と福留の四球の無死一、二塁から藤井彰人捕手が失敗。

 第2試合の6回に、西岡剛内野手が遊撃内野安打で出塁した無死一塁からの送りバントは、上本博紀内野手が投手正面に転がして失敗している。

 また第2試合の5回は、7番の鶴岡一成捕手に右打ちのサインが出たが、内角球を2度、無理矢理に右方向に打った打球がファウルとなったカウント1-2から空振り三振に倒れて走者を進めることはできなかった。

 あとの1回は第2試合の7回で、先頭のM・ゴメス内野手が右前安打し、5番のM・マートンに強攻させたが投ゴロと、結果的にはたった1度しか走者を進められていないのだから、なかなか得点に結びつかないのも当たり前だろう。

巨人・原監督の「チームを動かす姿勢」とは。

「野球は基本的には個のスポーツ。ただ常に個の力を発揮できる選手なんて一人もいない。個人の力に負う部分は8割あるが、残りの2割はやっぱりチームプレー。そこで自己犠牲ということが求められる」

 巨人・原辰徳監督はチームを動かす姿勢として常々、こんな話をしている。

 過去には、絶対的な4番であった阿部慎之助捕手にもバントのサインを出したことがある。今季も村田修一内野手やJ・ロペス内野手にも、ここぞという場面でバントのサインが出た。

 この原采配には批判が渦巻いた。それでも「勝つことが目的。1点を取るために必要ならば誰でも送りバントをさせる」というチーム方針を徹底したことが、結果的には3連覇へ結びついている。

【次ページ】 来日直後のセペダが見せた、バントの構え。

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