濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“ジムのある街”で格闘技興行を!
ブームやバブルでない、確かな熱へ。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2014/09/19 16:30
打撃で石神保貴を圧倒し、1RTKO勝ちをおさめた清水清隆(右)。試合後「結果は良かったんですが内容が悪かったのでまた精進」とツイートしている。
パラエストラ東京との“練馬ダービー”も開催。
ポスターに「練馬区 初/発 総合格闘技」というキャッチコピーが躍る今大会も、そんな取り組みの延長線上にあるものだと言っていい。“ジムのある街”という単位からの格闘技の発信。ジムの会員にとっては他のどのイベントよりも熱が入るし、地元の住民が格闘技に触れるきっかけにもなる。大会には、同じ練馬区の江古田にある老舗ジム・パラエストラ東京からも選手が出場。TRIBE TOKYO M.M.Aとの対抗戦もラインナップされた。いわば“練馬ダービー”だ。
こうした“ご当地興行”は、地方ではよく行なわれている。地元ジムの主催、地元選手が主役の試合を地元の観客が応援するというスタイル。「TTF CHALLENGE 02」は、都内で同じ形式を採用したもの。確かに東京は日本の中心で、格闘技イベントにも全国から選手が集まるのだが、それぞれのジムには“本拠地”がある。その地盤や熱を活かさない手はない。パラエストラ代表の中井祐樹は、大会を見てこんなコメントを残した。
「地元の声援が、選手に“もう一歩”の後押しをしてくれるんですよ。この(イベントの)形が、日本の格闘技の主軸だと思います。アマチュアや地元の道場、支援してくださる方々と一緒にやっていくのが、僕たちの考える格闘技の普及の仕方です」
メインにはパンクラス王座6度防衛の清水清隆が。
メインイベントに出場したのは、TRIBE TOKYO M.M.A所属の清水清隆。パンクラスのスーパーフライ級王座を団体史上最多の6度防衛している国内トップ選手の一人だ。
対戦相手の石神保貴はキャリア11戦、4勝3敗4分の選手だから、構図としては石神の“チャレンジマッチ”だ。清水は受けて立つ立場ということになり、ハイリスク・ローリターンの試合だった。
にもかかわらず、試合は盛り上がった。ジムでインストラクターを務めてもいる清水の応援に、たくさんの会員が来場。キッズクラスの子どもたちも「清水先生」の試合を見に集まった。歩いて行ける場所だから、子どもたちも見に来やすかったのかもしれない。