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「まだ教えてもらうレベルじゃない」
コーチをつけない松山英樹の“思想”。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2014/09/03 10:30

「まだ教えてもらうレベルじゃない」コーチをつけない松山英樹の“思想”。<Number Web> photograph by AFLO

現在プレーオフシリーズ真っ只中の松山英樹。最終戦「ツアー選手権」に出場できるかは今週末の「BMW選手権」の結果にかかっている。

「今の僕はまだ教えてもらうレベルじゃない」

 多くのプロがそうだったように、松山にとっても最初の指導者は家族だった。英樹少年が4歳のとき。のちに日本アマチュア選手権に出場するほどの実力者である父・幹男さんに連れられ、打ちっぱなしの練習場に足を踏み入れた。それ以来、二人三脚でスイングづくりに励んできた。しかし地元四国を離れ、東北福祉大進学後はその父子の時間はたちまち減り、特定の指導者がいないままあれよあれよという間にマスターズに出場、賞金王戴冠、米ツアー制覇まで成し遂げてしまったのである。

 しかしそんな成功体験続きだからといって、コーチが不必要というわけではない。松山はこうはっきり言うのだ。

「いずれはコーチに習うかもしれないけれど、今の僕は、まだ教えてもらうレベルまで行っていない」

「コーチのパターンにスイングをハメたくない」

 米ツアーに根を張るプロコーチたちは、松山のような“フリー”の有望株が振り向く瞬間を、手ぐすねを引いて待っている。彼らは試合会場のドライビングレンジで選手たちの動きに目を凝らしている。プレーヤーに対して下手に出るような素振りはなく、世間話をしてみたり、それぞれのキャディに軽く声をかけて、その場をゆっくりと去っていったりと、さりげなく存在をアピールしているようだ。

 松山ももちろん彼らの気配を背中越しに感じており、敬遠しているわけではない。むしろ興味があると言っていい。昨年の夏場、米ツアーへのスポット参戦を開始した時期には、とりわけ欧州の選手からの信頼が厚い、ピート・コーワン氏にスイングチェックを受け、アドバイスももらっていた。

 しかし、「ピートはね、よく声をかけてくれるから『ちょっと見て』と言うのはありますけど……」と、そこから一歩踏み込み「契約」という段階には至らない。

 それは22歳なりの信念があるゆえである。

「コーチの方にはそれぞれ考え方があって、ショーン・フォーリーならショーン・フォーリーの理論っていうのがある。でも今の自分は、そのコーチのパターンにスイングをハメたくない。“自分のスイング”って人によって違って、それぞれ、できる動きとできない動きってあると思うんですよね。コーチに習ったからと言って、それを無理矢理変えたくないんです」

【次ページ】 ただ教えられるだけでは、発展的な関係にならない。

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