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マンオブザマッチにGKが12回選出!
今大会は守護神のW杯になるのか? 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byGetty Images

posted2014/07/12 10:30

マンオブザマッチにGKが12回選出!今大会は守護神のW杯になるのか?<Number Web> photograph by Getty Images

ドイツがディフェンスラインを高く設定できるのは、裏のスペースをノイアーがカバーしてくれることへの信頼があればこそ。カーンも実現できなかったW杯制覇は、守護神がメッシを止められるかにかかっている。

シレセンに見る、オランダGK“伝統”の足技。

 ビルドアップ能力と言う点ではPK戦で涙をのんだ“あの選手”の名前も挙がった。

「オランダのシレセンについては、ノイアーと同様に攻撃のビルドアップに参加していた点に注目してほしいですね。相手としてはGKまで組み立てに関わってくると、プレスがハマらなくなってしまい、攻撃を組み立てる一員としてオランダの躍進を陰で支えています。ちなみにシレッセンの足元の技術を見ていると、以前守護神を務めていたファンデルサールと共通した“伝統”を感じますね」

 足元の巧みさで異彩を放ったノイアーやシレッセンが存在感を放った一方で、守護神の度重なる好セーブによって、決勝トーナメント進出を果たした国もある。小島さんは「メキシコのオチョア、コスタリカのナバス、スイスのベナーリオです」と3人の名前を挙げて、それぞれの特徴を語った。

 まずはグループリーグ第2戦、ブラジル戦でネイマールのヘディングを間一髪防ぐなどファインセーブを連発したオチョアだ。

「オチョアはブラジルをシャットアウトしたのが強く印象に残っていますね。また決勝トーナメントのオランダ戦で2失点したものの、CKから『これは入ったな』という至近距離の一撃をビッグセーブしていました。

 彼はもちろん反応が鋭いのですが、それ以上に至近距離のシュートに対して体勢を崩さず、最後まで“悪あがき”する点が素晴らしかったです。GKはどうしても体を少し動かしてしまうものなんですが、セーブする瞬間までボールをしっかりと見て対処したのが見事でした」

ナバスとベナーリオは対照的なタイプ。

 次にマンオブザマッチに計3回選出され、コスタリカ史上最高成績となるベスト8進出の立役者となったナバスと、アルゼンチン相手に118分まで無失点で凌ぎきったベナーリオだ。彼らは同じ守備的なチームの中でも、好対照なタイプだという。

「決定的なピンチが多かったコスタリカですが、ナバスの勇気を持った飛び出しが生きました。それによって1対1の場面でもシュートコースを消してボールを体に当てて、危機を救っていましたね。

 またスイスのベナーリオはナバスと違うアプローチですが、安定感がありました。彼は飛び出して1対1を止めるのではなく、ゴール前にデンと構えているタイプです。ただシュートに対して準備をしっかりしているため、コースの甘いシュートは絶対に入れさせない雰囲気がありました」

【次ページ】 ゴールキーパーにも、国や大陸のスタイルがある。

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小島伸幸
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