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マンオブザマッチにGKが12回選出!
今大会は守護神のW杯になるのか?

posted2014/07/12 10:30

 
マンオブザマッチにGKが12回選出!今大会は守護神のW杯になるのか?<Number Web> photograph by Getty Images

ドイツがディフェンスラインを高く設定できるのは、裏のスペースをノイアーがカバーしてくれることへの信頼があればこそ。カーンも実現できなかったW杯制覇は、守護神がメッシを止められるかにかかっている。

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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 ブラジルワールドカップも、3位決定戦と決勝の2試合を残すのみとなった。ここまでの62試合で生まれたゴール数は合計167を数える。グループリーグのスペインvs.オランダ、準決勝のブラジルvs.ドイツのようなショッキングなスコアもあったが、全体の平均得点数でも、前回の南アフリカ大会の2.3から2.7と数字が増えている。

 ただ得点数が増えた一方で、今大会はGKのビッグセーブも印象に強い。ここまでのマンオブザマッチを見ても、GKが12回選出されている。延長戦やPK戦にもつれ込む展開が多かったのも、彼らの頑張りがあったからこそ、なのかもしれない。

 その傾向はプロの目にはどう映ったのか。'98年フランス大会の日本代表GKで、今大会も解説者として現地に向かった小島伸幸さんに、今大会のゴールキーパーについて話を聞いた。

 まず気になるのは、小島さんが選ぶベストGKだ。これについてはやはりドイツの絶対的守護神、ノイアーの名前が挙がった。

「最初に伝えたいのは、ノイアーがとにかく素晴らしいということです。準決勝のブラジル戦では1失点を喫しましたが、角度のないところからのシュートに関してはほとんど入らない安定感がありました。例に出すとフランス戦の終盤、ベンゼマのシュートを止めたのがまさにそれでしたね」

世界有数のセービング能力と、攻撃への影響力。

 そんなノイアーが最大のインパクトを与えたのは、決勝トーナメント1回戦のアルジェリア戦。高い最終ラインの裏を相手アタッカーに突かれるや否や、フィールドプレーヤー顔負けのスプリントでペナルティエリアを飛び出し、スライディングやヘディングで何度も窮地を凌いだ。

「守備範囲が非常に広く、最終ライン裏のスペースを消しつつ、キック精度の高さと足元の技術を生かしてポゼッションの起点としても機能していたのが印象的ですね。その上でシュートをきっちりと止めるゴールキーピングにも秀でている。今のGKに必要とされている能力が総じて高いです」

 アルジェリア戦では守備力の高さだけでなく、ボールをキャッチするや否や、前線に走る選手を目がけて低弾道かつ正確無比なピンポイントパスを披露した。世界有数のセービング能力を持ちながら、最後方で“ゲームメーカー役”を務められるセンスは唯一無二である。

【次ページ】 シレセンに見る、オランダGK“伝統”の足技。

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