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「少ない運動量」と「瞬間的な煌き」。
走らないメッシを支えるチームの献身。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2014/06/30 11:50
プレッシング、ハードワークという今大会のトレンドに逆行するように、運動量ではなく一瞬の決定的な仕事でチームに勝利をもたらしているメッシ。周囲の理解は十分、念願の王座を手中に収めることはできるか。
「メッシがいれば、すべてのことが解決する」
ただそれはディマリアだけでなく、ディフェンス面でマスチェラーノが卓越した危機察知能力でピンチを防ぐなど、メッシ以外の選手の個人能力に依存しているということでもある。ナイジェリア戦ではアグエロが負傷し、今大会中の復帰は絶望との報道も出ている。代役にラベッシが控えるとはいえ、メッシ、ディマリア、イグアインと形成する「クアトロ・ファンタスティコ(魅惑の4人)」の1人を欠き、フィニッシュの局面で苦しさを増す可能性は高い。
それでも、グループリーグからハードワークを続けている他国のエースに比べれば、メッシの消耗度は軽いという考え方もできる。
「メッシがいれば、ほぼすべてのことが解決する」
サベージャ監督はイラン戦後、こう口にした。
考えてみれば、'86年メキシコ大会ではブルチャガ、バルダーノら有能な副官がマラドーナを支えて優勝を勝ち取った。
あの時のように、ディマリアやイグアインらが盛り立て、メッシが煌きを放つ――。
“戦術はメッシ”
ハードワーク重視の中でアルゼンチンが28年ぶりの優勝を目指すためには、メッシと多士済々の仲間たちがそれを完遂できるか否かが生命線なのだ。