ブラジルW杯通信BACK NUMBER
これは「方向性なき敗戦」ではない。
GL敗退の日本、選手が信じた“道”。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/06/25 11:15
試合後、虚空を見つめ悔しさをかみ締める本田圭佑。試合後のインタビューでも「負け犬」「口だけ」と強い言葉で自らを責めた。
ドイツW杯での「方向性なき敗戦」とは違う。
今大会のザックジャパンは、直前合宿のメニューや強化試合の流れも含めて、2006年ドイツ大会のジーコジャパンに似ていると言われてきた。当時を知るただ一人の選手、遠藤保仁も「8年前に似ている。国内でフィジカルを上げてから移動したのも同じ流れだった」と話していた。
大会が始まれば、初戦で負け、2戦目で引き分け、第3戦にわずかな望みを残しつつシード国と対戦するということまで同じ軌跡をたどった。こうして迎えたコロンビア戦の最終スコアは1-4。さらには、相手の最後の交代がGKだということまでもが、8年前のドイツW杯と同じだった。
ただ、8年前と明らかに違うことがあるのも確かだ。ザックジャパンが4年間をかけて「攻撃的サッカー」を積み上げてきたこと。そして苦しみながらも最後までそれを貫いたことだ。ドイツ大会の日本代表は方向性なき敗戦だったが、今回はどうだろう。
1-4は玉砕とも言えるスコアだが、先発したフィールドプレーヤー10人全員がシュートを打ったことは、未来に何かを残すことになりはしないか。
長谷部は「自分たちには最後までやりきる使命があった。状況はむずかしかったけど、攻める姿勢を最後まで貫いてああいう結果になったので、最後の部分は後悔はない。この先のことは協会が決めることだが、僕個人の意見を言うなら、今までの方向性を継続していくのがいいと思っている」と提言した。
反省すべき点を洗い直し、未来に向かって目指す方向を示す。手を抜かずにこの作業を行なうことが、今最も必要とされることである。