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<ブラジルW杯を楽しむ> まるで代理戦争? クラブシーンから読み解くW杯。
text by
北條聡Satoshi Hojo
photograph byGetty Images
posted2014/05/22 11:00
ポルトガルはレアルと同様、ロナウドを最大限に生かす。
もっとも最大の武器は依然、C・ロナウドを終点とする史上最速のカウンターアタックだ。スターの天才がシステムの中で最大限に引き出される「個と組織」の見事な調和と言ってもいい。特に攻守のバランスに応じて、C・ロナウドのポジション(2トップの一角と左ウイング)を使い分ける巧みな采配は、単一のモデルに執着しない名将カルロ・アンチェロッティの面目躍如だろう。
C・ロナウドの決定力を引き出すシステムを持っている点でレアルと共通するのがポルトガル代表だ。CBのペペと左サイドバックを担うファビオ・コエントランもレアルの主力である。選手層が薄く、戦術面の選択肢も少ないが、カウンターの破壊力は、どの国にとっても脅威となるはずだ。
G組のドイツとポルトガルの直接対決は、バイエルンとレアルの「代理戦争」と言えなくもない。ちなみに、今季のCL準決勝で実現した両クラブの決戦は、後者に軍配が上がっている。
アウトサイダーはアトレティコの「労働者戦法」を。
最後に触れておきたいのが、今季のクラブシーンを沸かせたスペインのアトレティコ・マドリーだ。額に汗水垂らして懸命にボールの奪回に走る「労働者の戦法」は、球を支配する上位者(強者)を震え上がらせた。
持たざる側のレジスタンス(抵抗)運動に共鳴する集団は、おそらくブラジル大会でも現れるだろう。ガーナとアメリカの身の振り方次第で、G組の激戦模様に拍車がかかりそうだ。