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「ロンドン世代ドイツ組」清武とW酒井。
ザックジャパンの序列を覆せるのか。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2014/05/21 10:40

「ロンドン世代ドイツ組」清武とW酒井。ザックジャパンの序列を覆せるのか。<Number Web> photograph by Getty Images

オランダとの引分けに続き、ザックジャパンの上昇気配を決定的なものにしたベルギー戦で、清武弘嗣、酒井宏樹、酒井高徳は揃ってスタメンだった。W杯本大会でも流れを変える役目を担えるか。

定位置をつかんだハノーファーで得た経験と自信。

 世界大会でベスト4に入った経験は、現在の日本代表の中では'99年のワールドユース(現在のU-20W杯)を戦った遠藤保仁をのぞけば、彼らの世代しか味わっていない財産でもある。

 そんな酒井宏樹は昨シーズン、加入したばかりのハノーファーでコンスタントに出番を得られていたわけではないし、本来のポジションではない右MFでプレーすることも少なくなかった。だが、今シーズンは右サイドバックの主力として立場を大きく変えた。

 実際、酒井宏樹の言う「一番ひどいとき」でも、普段の練習では別メニューの調整を続けつつ、チームに請われて試合で起用されていた。それは彼が、ハノーファーの主力として不可欠な戦力となったからに他ならない。リーグ戦最後の2試合は大事をとってメンバーから外れたが、それはチームの1部残留が決まったから。ハノーファーというクラブが主力選手のW杯での活躍を願っているからでもある。

「(ハノーファーに)渡って2年が経ちますし、そういう世界を求めて出て行ったので。たくさんの相手とやりましたし、マッチアップもしたので、自信が徐々に出てきています」

プレッシャーがかかる残留争いで結果を残した酒井高徳。

 シュツットガルトでは左右両サイドで起用された酒井高徳は、ドイツに渡って3シーズン目にして初めて残留争いを味わった。その厳しい状況の中で残留争いの佳境となった第31節のシャルケ戦では、勝利を決定づけるハルニクのチーム3点目となるゴールをアシストした。翌週、少しでも勝ち点を積み重ねることを求められたハノーファーとのアウェーゲームでは、安定した守備を披露。0-0のスコアレスドローで勝ち点1を得ることに貢献し、『ビルト』紙からはこの週のベストイレブンにも選ばれた。

 最もプレッシャーのかかる局面でしっかりとチームの力になれた。それは同じく大きな重圧のかかるW杯の舞台でも貴重な武器となるだろう。

「これまでは(2部に)落ちることもないし、良い位置にいるわけでもないというシーズンを過ごしたこともあったので、何となく試合をしていたような時期もありました。でも、今シーズンは負けたら落ちるという状況。負けたら終わりというプレッシャーの中で試合をやらないといけない、自分のパフォーマンスを上げなきゃいけないという、ぎりぎりのところで、そこに飲み込まれずに自分のパフォーマンスをいかに出すかというところはすごく勉強になったかなと思います」

 そんな酒井高徳が、自らの世代の存在意義についてこう話している。

【次ページ】 「下の世代がどんどん脅かすようにならないといけない」

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