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実現しなかった24季ぶりの戴冠。
リバプールの波乱に満ちた1年間。  

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byGetty Images

posted2014/05/12 12:25

実現しなかった24季ぶりの戴冠。リバプールの波乱に満ちた1年間。 <Number Web> photograph by Getty Images

リバプールの、そしてイングランドの象徴の頭上に栄冠は輝かなかった。それでもジェラードは、波乱のシーズンを戦い抜いたチームを称えた。

最後の最後に高くついた、守備の脆さ。

 ただし、攻撃的でアグレッシブなプレースタイルは、高くつく結果にもなった。今シーズンのプレミアでは、最終的にマンチェスター・シティが勝ち点86で優勝、勝ち点84のリバプールが2位となったが、仮に勝ち点で並んだとしても、リバプールの勝ち目は薄かった。得失点差で大きな差をつけられていたからである。

 今シーズンのプレミアでは、シティとリバプールが得点数を100点台に乗せている。しかし失点はシティの37に対して、リバプールは50。上位陣の中で一番多い。

 これは今シーズンのリバプールが、いかに点の出入りの激しいサッカーをしていたかを示している。ベルギー代表のGK、ミノレは予想以上に健闘したが、他の守備陣はさほど安定感があるわけではない。このような弱点に輪をかけたのが、攻撃的なプレースタイルだった。

 攻勢に出た時のリバプールは、ピッチを幅広く使いながらDFラインを押し上げていく。結果、プレミアの上位チームでは、最も迫力のあるカウンターを展開するチームである反面、最もカウンターに脆いチームであり続けてきた。

3-0を勝ちきれなかった時点で、優勝は消えた。

 このような守備の脆さが特に明らかになったのが、第37節のクリスタルパレス戦である。前節でチェルシーに0-2で敗れていたリバプールにとっては勝利が絶対条件だったが、なんと3-0でリードしながら、立て続けに3ゴールを奪われ同点で試合を終えてしまう。

 この時点でタイトルレースはほぼ確定したといえる。もともとシティは日程調整の関係で、リバプールよりも2試合多く残していた。しかも得失点数で上回っていたため、リバプール側は残り試合を全勝することが優勝の絶対条件になっていたからである。

 4月13日の直接対決では、リバプールがシティに勝利。ジェラードは感涙にむせんだが、終盤戦でラストスパートをかけたのは、シティのほうだった。シティは直接対決に敗れた後の6試合を5勝1分で乗り切っている。他方リバプールは2勝1敗1分で終えたにすぎなかった。

【次ページ】 主将と指揮官が既に見据える来シーズン。

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