主将と指揮官が既に見据える来シーズン。

「個人的にがっかりしたよ。ファンの気持ちを考えてもね」

　ニューカッスル戦後、ジェラードは落胆を隠そうとしなかった。だが、彼はこう付け加えるのも忘れなかった。

「俺たちは立ち直らなきゃならない。それにもう1年、このレベルでプレーできる」

　他方、ロジャーズは来シーズンをすでに見据え始めていた。

「我々は常に攻撃的で、クリエイティブなサッカーを目指してきた。このスタイルは変わらない。チャンピオンズリーグの試合でもだ」

　今夏のリバプールは、昨年以上に精力的な補強が必要となるだろう。CLとプレミアを並行して戦う来シーズンは、試合数が増え、選手の負荷も一気に増大するからだ。守備陣のテコ入れや、攻撃陣のバックアップメンバーの確保も欠かせないだろう。

「リバプール」はセンチメンタルだ。

　そしてもう一つの隠れた課題が、2シーズン目のジンクスを払拭することである。

　チームの戦力や勢いを維持するのは簡単ではない。力関係はシーズンごとに変わっていく。ましてやスアレスなどは、今夏の移籍市場でもすでに動向が取りざたされるようになっている。

　しかし、ジェラードやロジャーズにはあえてその難関を越えて、来シーズンも是非、健在ぶりを示して欲しい。

「リバプール」というクラブ名は、イングランドのサッカーファンはもとより、日本のオールドファンにも、センチメンタルに響く。現役生活の締めくくりに、ジェラードが来シーズンの今頃、銀色の賜杯を掲げるというのは決して悪いシナリオではない。