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どん底から復活した浅田真央に学べ!
レジリエンス力が魅力的な組織を作る。
text by
葛山智子Tomoko Katsurayama
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2014/04/10 10:50
浅田真央の劇的な活躍はソチ五輪の最大のハイライトだった。もちろん、本人だけでなく、佐藤信夫コーチという名伯楽あっての復活劇でもある。
今年のテーマは「魅せる」戦略。
前回は魅せる際に押さえておくべきポイントについて触れた。今日は、どんなことに魅せられるのかについて考えてみたい。
特にオリンピック、ワールドカップなどの魅力は、勝負の結果だけではなく、そこに至るプロセス、活躍の裏にある、挑戦、苦悩、そして耐えながらも前進する強靭な精神と肉体に魅了される経験も多いのではなかろうか。一流選手のこのような姿に触れ、感動することも、スポーツの大きな力の1つといえるであろう。
企業に置き換えると、「魅せる」ものには、その企業が提供している製品やサービスそのものも(スポーツでいうところの勝負の結果)あるが、企業の理念や、理念から生まれるこだわりや組織文化、また製品やサービスの裏に隠されたプロセスなどもその1つに該当するであろう。特に最近注目されているのが、その組織の持つ組織力の源泉。そしてそこから生み出される組織文化。「働きがいのある企業」や「従業員満足度の高い企業」のランキングが注目されることも多くなった。
従業員がどれくらい幸福度を持って仕事に就いているか。
それは従業員満足度の向上にもつながり、満足度の向上により従業員の生産性アップにつながるなど企業としても無視できないものになっている。
従業員満足度の高い組織は逆境に強い。
ではどのような人や組織が幸福度・満足感が高いのだろうか。
満足し幸福感の高い従業員やその組織は、レジリエンス力があるという。レジリエンス力は回復する力であり、「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」(『日本の人事部 人事辞典』)を指す。環境の変化により下降状態に陥っても、そこから柔軟に立ちあがってくるその復活力とでもいうのであろうか。
環境の変化を避けることはまず難しい。良いときもあれば、悪い時もある。それがこの世の中。ならば、悪い出来事を避けるのではなく、この悪い時にどれだけしなやかに立ち戻ってくることができるのか、そういう力のディベロップに力を注いだほうがよい。