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7年ぶりに東北で男子ツアーが開催。
復興へ、ゴルフが福島の先駆けに。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byYUTAKA/AFLO SPORTS

posted2014/03/20 16:30

7年ぶりに東北で男子ツアーが開催。復興へ、ゴルフが福島の先駆けに。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORTS

2011年のダイヤモンドカップでは、石川遼、薗田峻輔らが復興支援の募金活動を行なった。

2011年8月、福島オープンの歴史はつながった。

 そんな苦労のなか修復工事は進み、36ホールのうち18ホールが復旧。同年7月末には営業再開にこぎつけた。

 時期を同じくして橋本が先導してきた福島オープンも、2011年夏の開催に向けて動きを進めていた。

「細々とですが、火だけは消さないようにやっていこうと。一度火を消したら、もう一度つけるのは大変なんです。その意識ばかりでした」

 被災しても、夢は諦められなかった。

 20人あまりの大会実行委員は企画、営業、広報とあらゆる仕事を担った。

「ほとんど自前でね。みんな自分たちの仕事の合間を縫って。レッスンの間に電話をかけたり、事務をしたり」

 地元スポンサーの協力を必死に仰ぎ、'11年8月には前年とほぼ同規模のプロアマ約200人を集めて大会を実施。歴史をつなぎ止めた。

最も低い賞金、それでもこの試合には意味がある。

 そして昨年、ダンロップスポーツがゴルフ活性化を目的に、全国の地区連盟などにツアートーナメントの新規開催を呼びかけた際、20回を迎える記念大会に合わせて開催を、と名乗りを上げ、ついに男子レギュラーの試合に“昇格”することが決まったのである。

 統計によると2010年に福島県のゴルフ場でプレーしたゴルファーは約124万人。昨年は約100万人まで持ち直した。コースの数は減ってしまったが、1コースあたりの集客は震災以前に近いレベルまで回復した。

 しかし橋本は「大会で福島が元気だというところを見ていただきたい」と期待を込める一方で、「ゴルフの面では福島は復興したといえるかもしれない。ただそれ以外では、原発の問題を含めて、これから20年、30年と付き合っていかなければいけないこともある」と故郷が抱える今後の長い道のりに思いを馳せた。

 大会の賞金総額は5000万円。今季の男子ツアーにおいて最も低い。だがそこには復興の話題を風化させないための、金額以上の価値があるのである。

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