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石川遼、6度目の正直で8位入賞!
ミラクルショットの陰に「四方の攻め」。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2014/03/24 11:25
パーマー招待でも、プエルトリコオープン、バルスパー選手権に続き予選を突破すると最終日も71でまとめ今季3度目のトップ10入りを果たした石川遼。昨季あれほど苦労したシード獲得はもはや手中だ。
3月23日に最終日を終えたアーノルド・パーマー招待で、石川遼が8位になった。'09年に米ツアーのスポット参戦を始めて以来、この大会に出場を続け、今年はすでに6度目とあって、難コースのベイヒルに対する彼の向き合い方には、ずいぶん変化が見られた。
たとえば、左ドッグレッグの3番(パー4)のティに立つと、かつての石川は大抵ドライバーを握っていた。大好きなドライバーで飛ばせるところまで飛ばしてフェアウェイを捉える。
目指すは、彼方の1点だけ。それが、彼にとっての「攻め」であり、ドライバー以外のクラブで刻んだり置きにいったりすることは、彼にとっては「逃げ」だった。
だが今年の大会では、風やティの位置、あるいはピン位置からの逆算結果に合わせ、3Wや4Wを握った。多くのホールで、クラブ選択にバリエーションが出ていた。考えて考えて、マネジメントしながらプレーができたと感じたとき、石川は「しっかりゴルフができた」と満足するようになった。彼にとっての「攻め」の意味が、昔と今とでは明らかに変わったのだ。
物知り顔のギャラリーが「絶対狙えない」と囁いた。
とはいえ、アグレッシブさを失ったわけでは決してない。たとえば、今大会の3日目。池を囲むような形の右ドッグレッグの18番(パー4)で石川のティショットは大きく右に曲がり、ラフの立ち木のさらに右まで飛んでいった。グリーンを狙うとしたらショートカットの池越えになる。だが、池はグリーンぎりぎりまで迫り出しており、わずかでもショートすれば池に沈むのは確実だ。物知り顔のギャラリーたちが口々に「絶対狙えない」「レイアップだ」と囁き合う中、石川は3番アイアンでグリーンを狙い、ピン右10メートルに乗せて、パーを拾った。
大歓声を浴びたその第2打は、ミラクルショットと呼ぶにふさわしい見事な一打だった。だが石川自身は「リスキーに見えたかもしれないけど、自分ではリラックスして打ったショットだった」と冷静に振り返った。