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DeNA・三嶋一輝、2年目で担う大役。
「開幕投手」の重圧を糧にする方法論。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/03/18 10:40
オープン戦で好投し、中畑清監督から開幕投手の大任を命じられた2年目の三嶋一輝。昨年は1年間ローテーションを守り、6勝9敗だった。
春季キャンプから開幕投手として期待されながら、これまで不甲斐ない投球が続いていた。
2月27日の韓国ネクセンとの練習試合で3回8安打6失点。3月7日のソフトバンクとのオープン戦では4回8安打5失点と、先発登板の実戦でいずれも滅多打ちを食らった。
DeNAの三嶋一輝は、この2試合を「小さくまとまりすぎていた」と振り返る。
教訓が生かされたのは、3度目の先発登板となった3月15日の阪神戦だった。
2回、2死から三塁打、四球の後にタイムリーを許したが、トータルでは5回3安打1失点。3度目の正直で、ようやく首脳陣を納得させるだけの成果を挙げた。
それまでの登板と違っていたのは結果だけではない。
「フォアボールでもいいから腕を振って……」
内容が良化した要因をひとつ挙げるとすれば、マウンドでの立ち振る舞いだ。この試合、3ボールにしてしまうこと計6回。それでも、2回に許した三塁打と四球を除けば、全て内野ゴロに打ち取った。
落ち着き払ったマウンド捌き。三嶋は、自身の投球をこのように回想した。
「腕がしっかりと振れていたから、相手がスライダーをひっかけてゴロになったんだと思います。今日は本当に、『自分のボールを投げて』とだけ考えて。前とその前の試合では小さくまとまってしまっていたんで、フォアボールでもいいからしっかりと腕を振って投げることを意識していました」
しっかりと腕を振る――。それはすなわち、強気の姿勢で攻める三嶋の最大のセールスポイントであり、生命線でもある。
阪神戦ではそれができた。中畑清監督も、両腕を目一杯広げながら「今までは不安がこーんなにあったから」と前置きしながらも、「やっと去年の雰囲気が出てきたね」と溜飲を下げるように三嶋の投球を称賛した。